2007年と2009年を比べると、「人権・労働問題」を1位に上げた人の割合は14.4%→26.6%と約12ポイント上昇している。また、「コンプライアンス」「環境保護」のスコアが低下する一方で、「利益を上げ、税金を納入すること」を1位に上げた人の割合も4ポイント程度であるが上昇している。これらも景気後退の影響であると考えられる。
⑥ 企業の環境コミュニケーション・・・「わからない・判断できない」のスコアが伸長
「CSR」のワードと概念は世間一般では忘れられつつあることがわかった。一方で、企業の環境コミュニケーションは生活者に届いているだろうか。3年間の推移で見たグラフが以下である。
「認知層(よく知っている+まあ)」の推移は3年間で19.4%→22.1%→20.2%、また「非認知層(あまり知らない+まったく知らない)」は3年間で65.7%→65.5%→62.0%。2008年には洞爺湖サミットがあったため、多くの企業が環境コミュニケーションに取り組んだが、その成果か2008年の認知層スコアは若干上昇しているものの、大きな変動はない。その一方で「わからない・判断できない」は昨年の12.6%か17.9%と5ポイント以上上昇した。
同様に、「企業の環境への取り組みの評価」については、2009年では「企業による差が大きい」(56.9%)が2008年よりも10ポイント以上減った一方で、やはり図4での結果と同様にここでも「わからない・判断できない」のスコアが約7ポイント上昇している。企業の「環境への取り組み」の広まりを感じている生活者が増えてはいる。しかし同時に「分からない・判断できない」のスコアの上昇から推測されるのは、企業からのメッセージが減少したことで、何をもとにして企業の取り組みを判断していいか分からなくなっている生活者も増えているということではないだろうか。
3年間の推移を見ると、「あてはまる」は減少し続けている。環境問題に積極的に取り組むことが、即「好感度」の上昇につながるわけではなくなった。生活者は、今や企業が「環境問題」に取り組むのは当然のことだと感じ始めている、と言える。
⑦ 生活者の環境への取り組み・・・「積極層」は減少、「留保層」が増加
次に生活者自身の環境への意識についてみてみる。
「行動をとっているが、まだもっと増やしたい」という「積極層」は、2008年と2009年を比較すると12.9ポイント減少した。逆に「行動はとっていないが、どんな行動があるかわかれば取りたい」という「留保層」は7ポイント増加している。「現状の行動で十分」という「現状維持層」は昨年とほぼ同じスコア。生活者による環境保護の行動の盛り上がりは落ち着きを見せ、本当に環境保護のために実効性のある行動とは何か、を模索し始めたと考えられる。
具体的な行動ですでに行っているものでは、「新聞雑誌の回収」「ゴミの分別」はすでに常識レベル。また上位には、「こまめに電気を消す」「シャワーを出しっぱなしにしない」「カーテンで室温調節をする」など電気・ガス会社などの啓発広告でおなじみの行動が並ぶ。長年の啓発の効果が表れている。
逆に「車はハイブリッドカーを選ぶ」や「車の燃料はクリーンエネルギーを選ぶ」は、まだ上級者編の行動といえよう。また、数年前からよく耳にする「マイ箸」も6.3%となかなか広まっていないようだ。
1年前と比較して、2009年にスコアが上昇している行動のトップは「食べる時期に合わせて、適正な賞味期限の食品を買う」。これは、食品の大量破棄が社会的に問題になったことの影響も考えられるが、賞味期限の近い食品は、たいてい割引がなされており、環境にもお財布にもエコであることが行動に結びついたとはいえないか。同様に「マイバッグ」についても、最近はマイバッグ持参でポイントをつけてくれる店も増えているし、レジ袋を有料にする自治体も相次いでいる。また「野菜は地元のものを買う」についても、購入金額は遠距離を運ばれたものより安いことが多い。つまり、第一義的に「お得」であり、結果としてエコにもつながることが生活者にとって実践のポイントとなっていると考えられる。
「今後行いたい行動」には、ハイブリッドカー、クリーンエネルギー、蛍光ランプやLEDランプへのスイッチが上位に並んでいる。新しいテクノロジーを生活に取り入れたいと考えている人たちが多くいる様子がうかがえる。また「マイ箸」は現状では実践している人は少ないが、4割の人が行いたいと考えている。これは、行動にあたって、投資が必要なものではないので、何らかのきっかけがあれば、大きく広がるかもしれない。
■過半数が新聞から環境に関する情報を得ている
複数回答で、環境についての情報源を聞いたところ、全体の52.5%が「新聞」と回答、テレビ(74.4%)に次ぐ情報源であると認識されている。
■読売新聞は、環境に配慮した企業や店舗・商品に関する情報に関心がある層に届いています
(吉池)