新聞広告の効果とは? 効果指標について改めて考える
広告注目率の概念を考え直す試み

1972年生まれ。97年早稲田大学商学部卒業。2002年同大学大学院博士後期課程修了。早稲田大学産業経営研究所助手、東京富士大学経営学部専任講師を経て、05年より現職。広告論担当。著書に『エッセンスで読むコトラーのマーケティング 入門の入門』(あさ出版)、『新しい広告』(電通、共著)、訳書に『経験価値マーケティング』『経験価値マネジメント』(ダイヤモンド社、共訳)などがある。
注目率とは、新聞を読んでいる間に、どれだけ広告が見られているのかを示すもので、新聞広告の効果を測る物差しとして従来から使われてきたわけです。広告媒体の環境や消費者の環境は変化しているわけですから、従来のものを当たり前と考えるのではなく、見直してみるというのはよいことだと思います。
今回の調査では、広告注目率の対象者を調査対象者に絞って考えることで「確かに見た」と答えた人だけでなく、「見たような気がする」という人との違いに踏み込んでいます。「確かに見た」人は広告を全体的に覚えている傾向が高く、「見たような気がする」人は部分的に覚えていると答えているのは面白い結果だと思います。
新聞広告だけで考えてみると、広告の注目率が高まる要因としては広告スペースのサイズ、クリエイティブの要素、出稿パターンなどが挙げられるわけですが、実際の広告キャンペーンでは様々な広告媒体が使われています。
複数の媒体を扱った研究は少ないのですが、デューク大学のエデルとダートマス大学ケラーの二人が行った研究では、印刷媒体とテレビをうまく組み合わせると、それぞれの媒体に単独で広告を出稿するよりも広告が覚えられることが指摘されています。
今回の調査でも、「確かに見た」人の方が「見たような気がする」人よりも他の媒体で広告を見たと答えている割合が出ています。
他の媒体で見た広告が新聞広告を「確かに見た」と答えさせるきっかけになる場合もあるでしょうし、新聞広告の「見たような気がする」が他媒体での広告注目率を高める可能性もあるでしょう。
「確かに見た」人と「見たような気がする」人とで、消費マインドが違っているわけですが、広告商品への興味関心によっても注目率は変わってくると思います。他の媒体との相互作用や消費者の要因が、新聞広告の注目率にどのように影響をしているのか今後の調査に期待したいと思います。