新聞広告の効果とは? 効果指標について改めて考える
広告注目率の概念を考え直す試み



1955年東京都生まれ。78年早稲田大学商学部卒業。88年同大学院商学研究科博士後期過程単位取得。埼玉女子短期大学専任講師、助教授を経て、93年早稲田大学専任講師、95年助教授、2001年より現職。主な著書に、「新しい広告」(電通、監修)、「現代広告論」(有斐閣、共著)、訳書に「経験価値マーケティング」「経験価値マネジメント」(ダイヤモンド社、共訳)などがある。

日本新聞協会が1995年5月に発表した「広告調査分類基準」は、それまで新聞社によって必ずしも同じではなかった広告注目率などの測定方法を統一し、同一名称の指標では異なる新聞社でも同じ方法で調査が行われるようにするための基準だったと考えられます。

その意味では、今回の読売新聞方式の広告注目率は、あえて別の方法を提起するものでもあり、そうするからには利用者にどれだけ意味のあることが提供できるかが問われることになります。

日本新聞協会方式では、広告注目率と広告接触率の計算に使われる分母が違っているというところが、ポイントです。
 日本新聞協会方式では
  広告接触率=(「確かに見た」人+「見たような気がする人」)/調査対象者
 読売新聞方式でも
  広告接触率=(「確かに見た」人+「見たような気がする人」)/調査対象者
となり、ここは同じです。

しかし、広告注目率に関して、日本新聞協会では分母が調査対象者ではなく、調査対象者の中で調査対象広告掲載当日の新聞閲読者となっています。すなわち
  広告注目率=「確かに見た」人/調査対象者のうち新聞閲読者
となっています。

読売新聞方式では、この分母を調査対象者に広げています。すなわち
  広告注目率※=「確かに見た」人/調査対象者
と考えます。

分母を新聞閲読者から調査対象者にするということは、必ずしも調査対象紙で見たのではない人、たとえば、他紙や他のメディアに載った広告で目にした人であっても確実に見た記憶のある人は広告注目者と考えるという可能性にもつながります。

現在、個々のビークル、媒体で何ができるか、ひとつのメディアだけの広告展開で何が達成できるか分離して考えるより、実際の出稿状況、つまり複数ビークル、複数メディアでの展開でどれだけ広告が注目されるか、どれだけコミュニケーション効果を高められるかが重要であることを考えると、読売新聞方式の広告注目率※の考え方の意味を肯定することができるでしょう。

ただし、これまで日本新聞協会が各新聞社の調査基準を統一して広告主への利便性を高めることに苦労してきたことを考えると、「広告注目率」と「広告注目率※」というやや紛らわしい名前のままでいいのか、という疑問もなくはありません。

当面は、従来の「広告注目率」と併用するなどして、利用者の誤解を避けるような努力も求められるでしょう。でもこの方式が公認されれば、同一の分母で広告接触率と広告注目率を見ることが可能になり、むしろ便利になるかもしれません。

クロスメディアの時代になり、ある媒体で広告を目にしたことが別の媒体に掲載された広告の理解を高めたり、興味を高めたりすることが増えているわけで、広告注目率の概念をこれまでのままでいいのか考え直してみることは意味のある試みだと思います。

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