新聞・テレビのクロスメディアがOSのブランド認知やイメージ向上に力を発揮
クロスメディアの効果



1955年東京都生まれ。78年早稲田大学商学部卒業。88年同大学院商学研究科博士後期過程単位取得。埼玉女子短期大学専任講師、助教授を経て、93年早稲田大学専任講師、95年助教授、2001年より現職。主な著書に、「新しい広告」(電通、監修)、「現代広告論」(有斐閣、共著)、訳書に「経験価値マーケティング」「経験価値マネジメント」(ダイヤモンド社、共訳)などがある。

今回の調査は、2007年1月30日発売のWindows Vistaが、発売日前後に行った広告活動やその他のコミュニケーションがどのような効果を発揮したかをクロスメディア調査で明らかにしようというものです。

1月27日から2月3日までのインパクトスコアを見ると(図1)、発売日当日と翌日の新聞広告出稿がスコア全体を底上げした様子、週末に当たる2月3日の別刷り広告で再度スコアがあがっている様子が見て取れます。

パソコンのOSという性格上、関心を持つ人がさらにWebで調べるという流れが期待されますが、新聞広告が出稿された30日、31日より、一呼吸おいた翌日に検索数が多いのもおもしろいところです。新聞広告に限らず、さまざまな媒体からの情報量の蓄積が、ついに検索という行動をもたらしたと読むこともできそうです。

1995年のWindows 95発売の時に、秋葉原に並ぶ人々やまるでお祭り騒ぎのような状況が大きく報道されたのを思い出します。Windows Vistaの発売はさすがにあのときのような大騒ぎではないものの、パソコンユーザーはみなある程度の関心を持っていたということでしょう。

3月上旬の事後調査(図3)で、95%近くの人がWindows Vistaの名前を知っていたという事実は、OSが多くの人の関心(必ずしも積極的な関心とはいえないかもしれませんが)の対象であったということもできるでしょう。 ただし、消費者のWindows Vistaの認知は、マイクロソフトによる直接的なコミュニケーションと、メディアが主体となって発信しているパブリシティや消費者間の口コミなどが複雑にからんでいることも考えないと、クロスメディアの効果を読み間違えるおそれがあります。

このクロスメディア調査は、ある意味で調査対象者に大きな負担をかけていますが、ここであげられている「新聞本紙」「新聞チラシ」「雑誌(広告)」「テレビ(広告)」「ラジオ(広告)」「ネット上の広告」「交通広告」「店頭広告」を調査対象者が確実に識別して回答しているかどうかは少し割り引いて考える必要があるかもしれません。

たとえば、「新聞チラシ」ですが、マイクロソフトが別刷りの広告を出稿した2月3日には当然インパクトスコアが高いものの、その他の日でもスコアの高い時があります。これは、家電量販店などの広告にWindows Vista搭載のパソコンの広告などが出ていたということかもしれません。テレビで見たというのもマイクロソフトが流していたコマーシャルと、ニュースなどで取り上げられていたものを識別しているかがやや気になります。

新製品の認知を得て、関心を持ってもらい、自発的に情報を検索したいという気にさせ、店頭に足を向けてもらうという一連のプロセスを目標として考えた場合、様々なマスメディアを駆使した広告展開が意味を持つのはもちろんです。

ただ、同じ時期に行われた各種メディアの報道(ニュースや番組でどのくらい取り上げられたか、新聞や雑誌の記事にはどの程度取り上げられたか)、一般の人々のブログなどでどのくらい取り上げられたかといったことも、もちろん大きく関係してきます。これらをあわせて見ていくと、現実的な情報の普及過程が予測できるような気がします。でもそうなるとさらに調査が複雑化してしまいますね。そこが大きな問題ではあります。

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