ブランド力強化とイメージ定着に効果をもたらした三ツ矢サイダーのシリーズ広告
新聞の特長を活かしたキャンペーン



1972年生まれ。97年早稲田大学商学部卒業。2002年同大学大学院博士後期課程修了。早稲田大学産業経営研究所助手、東京富士大学経営学部専任講師を経て、05年より現職。広告論担当。著書に『エッセンスで読むコトラーのマーケティング 入門の入門』(あさ出版)、『新しい広告』(電通、共著)、訳書に『経験価値マーケティング』『経験価値マネジメント』(ダイヤモンド社、共訳)などがある。

三ツ矢サイダーのキャンペーンは、123周年を記念して行われたものです。全6回のシリーズで、それぞれ三ツ矢サイダーにまつわるショート・ストーリーで構成されています。各回に、題字と挿絵が効果的に使われており、新聞の特長を活かしたキャンペーンといえるのではないでしょうか。

クリエイティブのテーマはブランドの伝統や懐かしさということかと思います。三ツ矢サイダーの代表的なイメージも「伝統的」「懐かしい/親しみのある」「信頼できる」「透明炭酸を代表する」ということですから、123周年にこれまでに培ってきたイメージを再評価してもらおうということでしょう。

キャンペーンの事後では、ターゲット層におけるトップ・オブ・マインド(マインドシェアの首位)のブランドとなっています。マインドシェアで上位に来るほど、購入候補として考えられやすくなるといわれていますから、透明炭酸飲料カテゴリーでの存在感を示しているといえるでしょう。

調査方法が同じだった1回目から5回目までの接触状況を見てみると、1回目の記憶が強く残っており、回を追うごとに記憶に残っていないことがわかります。一般的には、シリーズ広告は、回を追うごとに記憶が残りやすくなる傾向にあります。これは信頼度の評価を見てもわかります。シリーズへの接触回数が多いほど、信頼度が高まっていることがわかります。

この原因は、クリエイティブにあると考えることができます。1回目、2回目は、題字や挿絵からショート・ストーリーの内容が容易に想像できたけれども、3回目以降は、読んでみないとわからないという人がいたのかもしれません。今回の広告は、それほど大きなスペースを使っているわけではありませんから、目を惹く工夫が重要になってきます。今回のキャンペーンでは、題字や挿絵でのわかりやすさが印象に残るポイントになったのではないでしょうか。

6回目についての調査は、広告の現物を見せて調査対象者に答えてもらっています。この回は、広告がもっとも記憶に残っているという結果が出ています。ブランドのネーミングに関するショート・ストーリーで興味深い内容ですし、最終回のキャンペーンでもあり、記憶に残りやすかったという見方もできます。しかし、第1回から第5回までの傾向を見ると、少しイレギュラーな印象を受けます。

これは、調査における広告の提示方法に差があったからと考えることができます。インターネットの調査で広告を見せると、対象者のコンピュターによって見え方などが変わってくる可能性があります。理想的には、実際の接触状況に近いかたちで広告を評価してもらうのが好ましいといえるでしょう。仮に、同じ状況で6回を比較したらどのような結果が出たのか興味深いところです。

▲ページの上に戻る