新聞・テレビのクロスメディア接触がマインドシェア向上に影響
クロスメディア効果研究に一石を投じる



1955年東京都生まれ。78年早稲田大学商学部卒業。88年同大学院商学研究科博士後期過程単位取得。埼玉女子短期大学専任講師、助教授を経て、93年早稲田大学専任講師、95年助教授、2001年より現職。主な著書に、「新しい広告」(電通、監修)、「現代広告論」(有斐閣、共著)、訳書に「経験価値マーケティング」「経験価値マネジメント」(ダイヤモンド社、共訳)などがある。

クロスメディアの時代といいながら、複数のメディアを使った広告効果調査の手法は確立されていません。手法の提案という意味でも、今回の調査は意義のあることだと思います。

生活者に時間帯別にどんなメディアの広告に接触し、認識したかを日記形式で書いてもらい、それが事前・事後のブランド意識にどう影響するかを見た調査ですが、調査対象者は大変だったと思います。今後、改善の余地はあると思いますが、こういう手法でも調査可能だということはわかりました。

広告認識を媒体間でフラットに比較できる指標として「インパクト・スコア」を導入していますが、これを見ると商品ジャンルによって媒体力の違いが表れています。必ずしもテレビが一番で、次が新聞というわけでもない。意外だったのは、交通広告、店頭広告が高いことです。

これは、調査エリアが東京50キロ圏ということもあり、都市型メディアの交通広告が強く出たからだと思います。また、時間帯別に調査したことで、新聞と交通広告は朝強いことも確かめられたと思います。

一般に、広告キャンペーンの効果調査は、事後調査ですから、新聞や交通広告のプリント媒体はこれほど強くは出ません。事後調査では、記憶から消えてしまうことが多いのかもしれません。

ブランドのマインドシェアは、新聞とテレビ両方で広告認識すると向上することも確認できました。新聞とテレビについては相乗効果が確認できたと思いますが、他のメディアとの相乗効果を評価するには、サンプルがやや少なすぎました。

調査の困難さから規模を大きくすることは難しいと思うのですが、クロスメディアの全体像を見ようとするには、やはりもう少しサンプルが欲しいところです。

それと、もう一つの課題は、ネット広告の結果が出なかったことです。今回は調査対象のレベルを揃えたいということからインターネット広告に限定しましたが、利用の仕方から考えて、広告に限定すること自体が実情にそぐわなくなってきているかもしれません。

次回の調査からは、インターネット広告は他のメディアの広告といっしょに書いてもらい、「インターネットで見た、検索した」などの項目を別立てにする方がいいかもしれません。

広告効果研究は、クチコミにしても、テレビの視聴率にしても、みんな別個に行われています。非常に細分化されているんですね。分析もどんどん専門化されている。クロスメディアの広告効果は、それを統合していかなければ、実は実現はむずかしい。今回の調査が、その1つのヒントになればと思っています。

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