研究レポート
新聞・テレビのクロスメディア接触がマインドシェア向上に影響
「確かに見た」人、「見たような気がする」人はどんな人たちか?

読売新聞では、新聞広告の効果指標として、「広告注目率」を使ってきた。当該広告を「確かに見た」「見たような気がする」「見た覚えがない」の三択で回答してもらったうちの「確かに見た」人の割合が「広告注目率」である。
「見たような気がする」人は、「見た覚えがない」わけではない。このため、何らかの接触はしていると思われるが、これまで指標としては取り上げてこなかった。
しかし、昨今のメディア環境の変化に伴い、広告環境も変動してきていることから、どのような人が「確かに見た」人で、どのような人が「見たような気がする」人なのかを改めて考えてみることにした。

監修者・嶋村先生のコメント

監修者・広瀬教授のコメント
調査結果1
「見たような気がする」人にも認められる効果

読売新聞東京本社広告局では、2006年9月~10月にかけて、実験的調査を行った。その結果、「確かに見た」「見たような気がする」両方とも、広告についての記憶を確かに持っているという結果が出た。
「確かに見た」人は広告を全体的に覚えており、キャラクターやタレント、商品写真から広告主の企業名や商品名まで広く覚えているのに対し、「見たような気がする」人は部分的にしか覚えていない場合が多く、「確かに見た人」と比べると、広告主の企業名や商品名をあまり覚えていないことなどがちがいである。
(この分析については、こちらに詳しく紹介していますのでごらんください)

まず、興味関心や、商品の購入意向など消費者のマインドにおける広告効果と「確かに見た」「見たような気がする」の関係を見てみたい。図1は、今回の調査で、広告ごとに聞いた各項目のスコアを、「確かに見た」「見たような気がする」別に出したものだ。

図1:「確かに見た」「見たような気がする」別広告効果


①と②は広告をどの程度覚えていると認識しているかのちがいで、「確かに見た」人は「見たような気がする」人よりも「全体的に覚えている」人が多いことがわかる。

③は「色」や「キャラクター」「商品名」など広告を構成する要素で具体的に覚えているものがある割合で、「確かに見た」「見たような気がする」とも9割以上で差はほとんどない。④は広告によって新しく知ったことがあった割合で、これも③同様ほとんど差はない。差が出てくるのは⑤以降で、⑤広告の内容理解、 ⑥興味関心を感じた、⑦広告の商品を買ってみたくなった、ではいずれも「確かに見た」の方がかなり高くなった。

広告のどこかをすぐに記憶したり、広告が伝える情報を受け止める、という基本的な広告接触レベルでは「確かに見た」も「見たような気がする」も同じような効果が望める。

そこから進んで、広告の内容をきちんと理解したり、興味を感じて購入を検討したりするには、広告を「確かに見た」と言えるような接触をしていることが必要になってくる、ということではないだろうか。

このことを踏まえて、新聞広告の効果を次の2段階で考えることを提案したい。

【第1段階】「確かに見た」+「見たような気がする」という基本的な広告接触者をできるだけ多く獲得し、広告によって伝えたい情報を伝達する

【第2段階】広告接触者の中の「確かに見た」人の割合を高めて、購入意向など消費者のマインドにおける広告効果を獲得する

読売新聞では、今後、広告効果指標として「広告接触率」「広告注目率※」の2つを提供していく。

この2つは(図2)のように表記される。なお、日本新聞協会調査基準による「広告注目率」とは分母が異なるため、読売新聞では「広告注目率※」と表記して区別する(図3参照)。

図2:広告接触率と広告注目率※


図3:読売新聞方式の広告注目率※


読売新聞のインターネットによる広告反響調査「アド・ボイス」定型調査では、2007年1月より、「広告接触率」「広告注目率※」2つの指標を用いた報告をする。

(「アド・ボイス」調査の概要はこちら
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調査結果2
クロスメディアが新聞広告をより効果的にする

次に、調査対象広告と同じものを、それ以前にほかの媒体で見ていたかどうかが「確かに見た」「見たような気がする」にどう影響しているか、というクロスメディア効果を見ていきたい。


調査対象となった50の広告すべてについて「確かに見た」「見たような気がする」「見た覚えがない」の3択で答えるのと同時に、ほかの媒体で見たことがあるかを聞いた。ほかの媒体でも見たことがあるのは40.2%だった(図4)。

図4:調査対象広告と同じものをほかの媒体で見たか


4割が初めてその広告を見たわけではなく、すでに何らかの媒体で広告に接しているという結果は、想像以上に高い。さまざまな広告媒体を使ったクロスコミュニケーションを意識したメディアプランが一般化したことを反映しているのだろう。

具体的にどの媒体で見たか(図5)で、テレビコマーシャルが48.0%で群を抜いた1位だった。新聞とテレビというターゲットの広いマス広告同士のクロス接触の力がわかる。

図5:調査対象広告と同じものを見た媒体


「過去の読売新聞の広告」が20.8%で3位に入っているのも目を引く。他の媒体を使わないでも、新聞という、読者が毎日ほぼ同じ人たちで固定されている媒体の中で複数回広告を打つことの有効性も高いことがわかった。一方で、「何で見たのかは覚えていない」も25.5%とかなり高いスコアである。漠然と何かで見たと思う人が結構いるということだ。

ほかの媒体で見ているかどうかで、広告接触状況がどう変わるかを見たのが図6だ。ほかの媒体で見たほうが接触は高まっているが、内訳を見ると「見たような気がする」は、5ポイント程度しか差がなく、「確かに見た」が20ポイント以上高まったために大きな差がでている。

図6:調査対象広告と同じものをほかの媒体で見たかどうか別の広告接触状況


つまり、新聞広告その1回だけでなく、いろいろな媒体を用いて複数回コミュニケーションを図ることがより多くの人を「確かに見た」に導くために有効だということである。

図7は、媒体別の広告接触状況だ。上位には「屋外広告」「読売新聞以外の新聞広告」「交通広告」「雑誌広告」などグラフィック広告が並んだ。新聞広告の記憶を押し上げるには、同じグラフィック広告が有効のようである。

図7:調査対象広告と同じものを見た媒体別の広告接触状況


ただし、図5で見たように見た回数が多いのはテレビCMである。実際、「アド・ボイス」定型調査の自由回答でも、「テレビCMで見ていたので、この広告がすぐ目に留まった」という主旨の回答が頻繁に見受けられる。

新聞広告を読者の目に留めさせるきっかけとしてはテレビCM、記憶をより高めるにはグラフィック広告、という2つの特徴を、新聞広告をより効果的に掲載するためのメディアプランのヒントとしていただければ幸いである。

読売新聞では、今回の調査結果を受けて2007年1月から、「アド・ボイス」の定型質問に、他の媒体での広告接触状況の設問を加える。

(国友)

【調査概要】

* 調査手法: インターネット調査
* 調査エリア: 東京都、神奈川県の東京本社版14版エリア
* 調査対象者: 調査エリアに在住し、かつ読売新聞を朝・夕刊セットで宅配契約している世帯の20歳以上の男女個人300人
* 対象素材数: 調査1回につき10素材調査 ※5回調査で50素材(15段24件、5段26件)
* 調査日: 2006年9月12、23、25、29日、10月4日の5日間
* レターヘッド・実査: (株)ビデオリサーチ
* 調査企画・設計: 読売新聞東京本社
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