新聞広告が新商品発売時のセールスプロモーションに効果
テレビCMの効果を押し上げる
新商品をいかに消費者に認知させて購買意欲を高めるか。
発売3日前から新聞広告を連日掲載して発売当日へ向けて盛り上げた、サントリーの「ジョッキ生」の事例から分析する。
この事例では、新聞以外にもテレビや交通広告で展開されたキャンペーンの中で、新聞広告がテレビのCMの効果を押し上げている様子が読み取れる。
調査結果1
新聞広告の効果がインパクト・スコアに表れる
サントリーは、「サントリー ジョッキ生」を2006年2月21日に発売し、新聞、テレビ、交通広告と店頭広告などによって広告展開した。テレビCMは発売2週間前よりタイムCMで1日数回流し、発売日にスポットCMの投下を開始するという2段構えであった。
新聞広告は、発売日3日前から8日間の連続掲載。交通広告は発売前日の20日に掲出開始された。同時に100万本をサンプリングしながら店頭広告も展開した。
調査は「クロスメディア効果調査」(調査方法と調査概要は
こちら)。
インパクト・スコアとは日記調査に書かれた「見た広告のブランド」の件数。好感度や購入経験は、日記調査の3週間後に行った事後調査で調べた。
掲載紙面
2月18日全5段

2月19日全5段

2月20日全5段

2月21日(発売当日)全15段

2月21日(発売当日)1面突き出し

2月22日全5段

図1は、インパクト・スコアの日別推移。新聞の広告掲載と同時に、新聞のインパクト・スコアが51ポイントと突出して表れたことが大きな特徴となっている。
図1:「ジョッキ生」インパクト・スコア(日別、媒体別)

それ以降も、初日同様全5段広告が掲載された19日と20日が55ポイント、53ポイント。発売当日であり、全ページ広告+1面突き出しが掲載された21 日にはスコアも伸びて68ポイントになり、全5段に戻った22日は少し下がって58ポイントと、新聞広告の掲載が如実にインパクト・スコアに表れていることがわかる。
テレビCMのインパクト・スコアに注目してみよう(図1)。15日から20日まではスポット投下開始前でタイムCMのみ、という均一の条件だが、18日に新聞広告の掲載が始まると、テレビCMのインパクト・スコアが前日の0ポイントから10ポイントに伸びており、それ以降22日までゆるやかに上昇している。
途中21日にスポットCMが始まって放映本数が増えているが、テレビのインパクト・スコアは、テレビCM自身ではなくむしろ新聞広告の影響を受けて推移しているようなのだ。
それまで放映しても流されてしまっていたジョッキ生のテレビCMを、流さず新聞広告でジョッキ生を認知した後では、認知できるようになったという現象ではないかと推測できる。つまり、新聞広告によって、テレビCMの効果が押し上げられたのだ。
クロスメディア効果調査 調査概要
事前調査:2月8日~14日
日記式調査:2月15日~22日
事後調査:3月14日~22日
調査方法:質問紙郵送法
調査地域:東京50km圏
サンプリング方法:MRD消費者モニターよりスクリーニングを実施し購読者を抽出した。
調査主体:読売新聞東京本社広告局
注:対象者には読売新聞の調査というバイアスがかかるためブラインドで実施
実施機関:MRD
調査結果2
広告接触回数が多い人ほど実際に購入もしている
日記式調査3週間後の事後調査で、ジョッキ生の好感度や購入経験について聞いた。
好感度(図2)は、インパクト・スコアが増えるほど高まっていることがわかる。
図2:「ジョッキ生」インパクト・スコアのポイント別好感度

図3は、「ジョッキ生」名を見て、知っていると答えた人、つまり名前を助成しての想起率である。インパクト・スコアなしの人より、ある人のほうが高い。
図3:「ジョッキ生」インパクト・スコアのポイント別ブランド名<助成>想起率

ポイント数の内訳を見ると、1から4ポイントまでは76~78%、5ポイント以上になると9割を超える結果だ。これと比較して図4を見てみよう。こちらはブランド名の助成なしの、純粋想起率だが、インパクト・スコアなしの人は、まったく想起できていない。そしてポイント数が高まるほど想起率が上昇する傾向となっている。
図4:「ジョッキ生」インパクト・スコアのポイント別ブランド名<純粋>想起率

助成想起の場合は、多少なりとも広告に接していれば、効果がそう変わらないが、純粋想起のためにはフリークエンシーが高まっていることが有効である。つまり指名買いに有利だということだ。
実際の購入経験(図5)は、インパクト・スコア0ポイントの人では3.8%だが、7ポイント以上では28.6%と高まっている。
図5:「ジョッキ生」インパクト・スコアのポイント別購入<経験>率

新発売商品であるジョッキ生は、認知もイメージも調査対象となった広告キャンペーンによってゼロから形成された。好感度や購入経験にはインパクト・スコアの回数が影響している。インパクト・スコアの7割弱は新聞によるものであり、新聞広告がプロモーション効果をもたらしたと言えるだろう。
(国友)
[4] ★よみラボ担当者より★:Re:充実してますね
2007-4-20 17:22:54
的確なご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり、ここで明らかにした結果を、新聞広告の機能として、当社の営業担当や広告会社の方が、セールストークとして生かしていくことが必要ですが、今は欠けているかもしれません。
よみラボは5月で丸1年を迎えますが、2年目はそんなことも意識してがんばりたいと思います。
[3] 充実してますね
2007-4-19 16:48:12
読売新聞の広告ガイド、充実していますね。
新聞広告の効果や役割をさまざまな角度から検証しているのは見事です。
この研究成果から見えてくる新聞広告の力を、現場で広告主にメディアプランを提案している広告会社の営業担当者に是非、届ける努力もお願いします。
また読売新聞の新聞営業担当をしている方が、広告主に説明できるように、繰り返し説明をして下さい。
このホームページが自己満足にならないように祈ります。でも本当にすばらしい取り組み。期待しています。
[2] ★よみラボ担当者より★:Re:いつも楽しみに読んでます
2007-2-5 15:27:41
ご指摘どおり、調査記入時に手元で確認できる印刷媒体のほうが映像・音声媒体より有利、という面はあるかもしれません。ただし、もし4回より少なく、たとえば1日に1回だけ記入することにすると、印刷媒体の優位性がさらに強く出るのではないかと思います。時間をおけばおくほど映像媒体の記憶が薄れてしまいますから。
1日に4回、というのは、調査対象者が受け入れられる負担内で、手元で確認できないテレビCMも記憶が薄れないうちに書けるようなるべく頻繁に書き込む、というところのぎりぎりの回数を選択しています。
このサントリージョッキ生の事例では新聞のインパクト・スコアが圧倒的に多いですが、それは8日連続掲載、というまれに見る新聞広告を多用したプランの効果を反映しているからです。
テレビCMのほうがたくさん投下されれば、当然テレビCMのインパクト・スコアが強く出ます。そういうデータを見ていると、この調査方法が新聞だけに有利なものでもなく、メディアプランのバランスをちゃんと反映していることを感じます。
そういう事例もご覧になりたいかもしれませんが、「よみラボ」は、新聞広告の機能を考える実験室ですから、テレビCMのインパクト・スコアのみが圧倒的に出たような事例を積極的にご紹介するのはちょっと・・・ というところです。
[1] いつも楽しみに読んでます
2007-1-25 21:37:2
新聞のインパクトスコアが飛び抜けすぎているなぁというのが率直な感想です。日記調査に参加している期間はモニターも広告を注意して見ているだろうから、 1日4回記入するこの調査形式が新聞に優位な形式なのかな?という気がします。新聞は調査記入時もモニターの手元にあるであろうので。
後半では、接触媒体別の純粋想起、購入経験の比率データが出せると面白いですね。例えば「新聞より交通で接触した人の方が純粋想起率が高い」とか、「同インパクト数でも単一媒体より複数媒体に接触した人の方が購入率が高い」など。