研究レポート
定年後も増加する新聞接触
「定年」は団塊世代の新聞購読にどのような影響を及ぼすか

2007年からの3年間で、約680万人の団塊の世代と呼ばれる人のうち、約280万人が定年退職を迎える。お金とゆとりのある消費者が増えることから、消費市場は活性化すると予測される。
読売新聞東京本社広告局ではこうしたタイミングをとらえ、団塊の世代を中心とした50~65歳までの男女を対象に、消費意向、今後の生活に対する意識、メディア接触などについて調査を行った。
今回は「団塊とその上下世代の日常生活とメディア接触調査」の結果から「定年退職後の新聞」をテーマにご紹介する。

調査結果1
90%以上が定年後も変わらず新聞を購読

団塊の世代は新聞との親和性が高いことがわかった。これは予想通りの結果といえるだろう。では、「定年」というタイミングは新聞購読にどのような影響をもたらすのだろうか。
仕事をやめ、仕事上の必要が減ることによって、定年後には新聞へのニーズは減少するのではという予測も一部にあるだろうが、むしろ新聞への接触は増えるであろうこともわかってきた。

調査結果を団塊下世代(50~56歳)、団塊世代(57~59歳)、団塊上世代(60~65歳)の3つの年代別にも分析してみたところ(表1)、それぞれの世代の特徴が浮かんできた。これらに共通しているのは「新聞が情報源」ということである。

表1:3つの世代の特徴


(ここでご紹介する以外の各種消費関連データは、「調査データから」「小冊子」でご紹介していますので、そちらもご覧下さい)

まず、調査対象者全員に現在の仕事状況について聞いた。図1を見ると、団塊世代は「3年以内に定年退職予定」(24.9%)、「仕事はしているが、定年はない」(30.6%)という人がボリュームゾーンとなっている。

団塊下世代では「10年以内に定年退職予定」が34.1%、「仕事はしているが、定年はない」が32.2%。団塊上世代では「すでに定年退職した」が圧倒的に多く41.7%。しかし働いている人も3割以上いる。

図1:現在の仕事状況(単数回答)


今後、定年退職を予定している人に定年退職後に希望する仕事の形態について聞いた(図2)。働きたいと思っている人は全体の6割以上。フルタイムで働きたい人(起業、NPO含む)が37.6%。今の会社や関連会社で働きたい人はパートも含めると34.5%。

特に団塊世代では「同じ会社でフルタイムで働きたい」人の割合が、他世代に比較して突出して高く、23.5%。「同じ会社でパートで働きたい」までを含むと3割を越え、愛社精神の強さが伝わってくる。ちなみに男女別に見ることができるグラフはこちら。

図2:定年後に希望する仕事の形態(単数回答)


調査対象者のうち定年退職をした、もしくはする予定がある人に定年退職後に、新聞購読に関して変化があると思うかを聞いてみた。すでに退職している方には現状がどうかを答えてもらった(図3)。

新聞の購読数が増える人(定年前のに加え別のもとる+非購読だったが今後とりたい)が9.0%、購読数は維持の人(定年前と数・種類同じ+定年前のをやめ別のをとる)が83.7%。購読数が減る人(定年前より新聞を減らす+購読していたが購読をやめたい)が7.3%。

世代別に見ると「維持」の人の割合は年代が上がるに連れてさらに高くなっており、60歳を機に新聞をやめるわけではないことがわかる。

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図3:今後の新聞購読について(単数回答)


次に、定年退職後に新聞購読について変更したい(すでにした)と答えた人にその理由を聞いた(図4)。「定年前の購読新聞に加えて別のもとる」と答えた人の約8割が「幅広い情報を得たい」からと答えている。

「定年前の購読をやめ、別のをとる」と答えた人の中でも「幅広い情報を得たい」と答えた人が44.2%。また「仕事上必要なくなるから」という理由を挙げた人も15.4%。「定年前より新聞を減らす」と答えた人では「仕事上必要なくなるから」(46.5%)と「購読料の安い新聞にしたい」(41.9%)という理由が拮抗している。

図4:定年後の新聞購読数を変更する理由(単数回答)


これら新聞購読の変更理由を世代別に見てみる(図5)。変更予定として「定年前のに加えて別のもとる」と答えた人の割合が最も高かったため、理由も「幅広い情報を得たい」が最も高く45.7%。特に団塊世代では57.1%と突出しており、この世代の知的好奇心の旺盛さが伺える。

団塊下世代では「仕事上必要なくなるから」という回答が他世代よりも高く21.2%。退職したら仕事のために読んでいた新聞はやめたいとこの時期では考えているようだ。

しかし、団塊世代になるとこの層が14.3%に減っている。定年までに時間がある時はやめたいと思っていても、いざ60歳が近づいてくると、もっと仕事を続けることになったり、または仕事は続けない場合も、読んでいた新聞への愛着は続くのではないだろうか。

団塊上世代では「購読料の安い新聞にしたい」という回答が他世代よりも急に高くなる。60代に入ると情報へのコスト意識が厳しくなるということか。

図5:世代別定年後の新聞購読数を変更する理由(単数回答)


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調査結果2
定年後のための情報入手は新聞がトップ

現在の朝刊購読紙を調査対象者全員に聞いたところ、全体の96.1%が何らかの新聞を購読していた。
世代が上がるにつれて「朝刊はとっていない」という人の割合は下がっている。現在の朝刊購読紙を調査対象者全員に聞いたところ、全体の96.1%が何らかの新聞を購読していた。
世代が上がるにつれて「朝刊はとっていない」という人の割合は下がっている。

購読紙別にみると、読売43.8%、朝日36.1%、日経12.9%の順で到達率が高い(図6)。世代別に見てもこの傾向は変わらないが、団塊上世代では毎日新聞とスポーツ紙のスコアが他世代よりも若干高い。

図6:現在の購読新聞【朝刊】(複数回答)


図7、8、9は朝刊閲読時間量である。全体の平均は平日が28.2分、土曜日が32.6分、日曜日が33.8分。

世代別に見ると、団塊下世代のみが20分台と他の世代と比較して短い傾向にある。現在の仕事状況を見た際に明らかだったように団塊下世代はまだまだフルタイムで仕事をしている人の割合が高く、忙しいことが影響しているのだろう。

図7:朝刊閲読時間量【平日】(単数回答)


図8:朝刊閲読時間量【土曜日】(単数回答)


図9:朝刊閲読時間量【日曜日】(単数回答)


調査対象者全員に、5つのメディアについて家庭内で話題にすることがあるかどうかを聞いた(図10)。全体でテレビを話題にしている人たちが93.0%と最も高い。

次に新聞がきており85.2%。テレビや新聞は家族で共有するメディアであり、雑誌、ラジオ、インターネットは個人メディアであるということも影響しているだろう。

平均朝刊閲読時間量では団塊下世代が他世代と比較して少ない傾向にあったが、家族内での話題という点では他世代との差は見られない。団塊を含むその上下世代ではいずれも、新聞が情報を家族で共有するためのツールとなっており、強い情報伝播力をもっていることが分かる(「団塊世代調査③ 家庭内で話題にする頻度-新聞は8割、インターネットは4割」を参照)。

図10:家庭内での話題にした経験(「よくある」+「たまにある」)


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調査対象者全員に現在未来に関わらず、「新聞を購読する理由」を複数回答で聞いた(図11)。全体で最もスコアが高かったのが「豊富な情報が整理されているから読みやすい」で57.2%。

僅差で「テレビ等だけだと情報不足」(56.6%)が続く。「宅配してくれるから」(48.9%)、「習慣だから」(45.5%)、「折込チラシが役立つ」(42.8%)という理由も4割を超えている。

世代別にみても傾向は同じだが、団塊世代では「記事の内容が信頼できる」という理由が他世代よりも突出している。また、団塊上世代では「記事の内容が詳しい」が他世代よりも高い。団塊下世代では「折り込みチラシが役立つ」という理由が他世代よりも高い。

図11:新聞を購読する理由(複数回答)


参考までにJ-READデータで50歳以下の世代とも比較してみる。図12を見ると、「手軽に情報を得ることができるので便利だ」という人は20代・30代では約6割だが、40代以上では約7割に達する。

「新聞を読むことが常識」という意識も50代・60代では約7割となっており、それ以下の世代とは大きな差がある。「毎日読まないと落ち着かない」という人も割合は年代に正比例しており、50代では64.8%、60代では74.2%。

他の世代に比して50代・60代の新聞に対する意識はかなり好意的であることがわかる。

図12:新聞に対する意識(複数回答)


また、調査対象者全員に、定年退職後や老後の生活に関する情報をどんなところから入手するかも尋ねた(図13)。全体で「新聞」がトップで71.0%。「テレビ(65.2%)」が続き、3位には「クチコミ(49.4%)」がきている。

世代別に見ても「新聞」、「テレビ」、「クチコミ」と答えた人の割合は年代が上がるにつれて高くなっている。インターネットは年代によってパソコン使用率が違うためこの結果は予想できるが(「団塊世代調査③ 自宅でのパソコン利用状況 年代別グラフ」を参照)、「雑誌」、「書籍」の結果は興味深い。団塊下・団塊世代の方が能動的に「雑誌」、「書籍」で情報を収集している。

団塊下世代では「情報収集していない」という人もまだ約2割存在するが、この層でも「新聞」と答えた人が65.6%という結果だった。

図13:定年退職後や老後の生活に関する情報の入手先(複数回答)


一般的には定年を迎えると情報ニーズが変わって、新聞に対する意識が変わる、つまり新聞購読数が減少するのではないかという推測もあったが、今回の調査結果ではそれは裏切られた形となった。団塊を中心とした50~65歳世代では新聞への関与や期待も高く、定年退職後も新聞は購読し続けるようだ。

(増田)

【調査概要】

* 調査期間:2006年8月28日~9月8日
* 調査地域:首都圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)
* 調査対象者:50~65歳の男女
* 調査方法:郵送調査
* 調査企画・設計:読売新聞東京本社広告局
* レターヘッド・実査:(株)日本リサーチセンター
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