研究レポート
ブランド力強化とイメージ定着に効果をもたらした三ツ矢サイダーのシリーズ広告
マインドシェアの向上、信頼・好感などイメージ強化も

すでに高いイメージ、ブランド力を持つブランドが、新聞のシリーズ広告で得た効果とは? 読売新聞では、アサヒ飲料の協力を得て「三ツ矢サイダー」のシリーズ広告(夕刊全2段多色×6回)についての調査を行った。
その結果、「三ツ矢サイダー」は透明炭酸飲料の中でもともと圧倒的なブランド力を持っているが、シリーズ広告掲載の前後でマインドシェアを上げたほか、信頼・好感ほか一定項目のイメージを強化し、購入経験者も増えたことがわかった。
さらに細かく見ていくと、①三ツ矢サイダーへのロイヤルティがもともと高い人のさらなるブランド力強化、②もともとはあまり高くない人の購入意向刺激の2つの効果があったことが読み取れる。

監修者・嶋村先生のコメント

監修者・広瀬先生のコメント
シリーズ広告
毎週木曜日の夕刊に6回連続で三ツ矢サイダーのエピソード

シリーズ広告は、2007年3月22日から同4月26日まで毎週木曜日の夕刊に全2段多色で掲載された。123周年を迎える三ツ矢サイダーのエピソードが「三ツ矢四方山話」として毎回1つずつ盛り込まれている。
調査はシリーズ広告掲載前(事前調査)と掲載終了後(事後調査)の2回、読売新聞を購読する20~49歳の女性に対してインターネット調査で行った。事前調査と事後調査の対象者はまったく別の人たちである。

第1回:「宮沢賢治の給料日。」
宮沢賢治が給料日に、教え子に三ツ矢サイダーをごちそうした話
宮沢賢治の給料日


第2回:「文豪と平野水。」
胃弱だった夏目漱石が、三ツ矢サイダーをよく飲んでいたという話
文豪と平野水


第3回:「永遠の少年。」
自他ともに認める三ツ矢サイダーファンのスタジオジブリ鈴木敏夫プロデューサーの話
永遠の少年


第4回:「ひとりで、ふたりで。」
大瀧詠一さんが作曲した1977年の三ツ矢サイダーのCMソングが、今でも小学校や幼稚園で振り付けして親しまれている話
ひとりで、ふたりで


第5回:「はじける魂。」
現代短歌の代表的歌人、穂村弘氏の歌に、たびたび三ツ矢サイダーが登場する話
はじける魂


第6回:「伝説の水。」
平安時代にさかのぼる、三ツ矢という名前の由来についての話

▲ページの上に戻る
調査結果1
広告を1回でも見た人は74%、1人平均3回

6つの広告への接触回数を計算すると、6つのうち1つでも見た記憶がある人は74.0%。20~49歳女性の4人に3人に到達したことになる。接触者の一人当たり平均は3.01回だった。
また、シリーズ広告全体への好感度は87.0%、シリーズ広告を見ての「三ツ矢サイダー」への印象が「非常によくなった」26.7%、「ややよくなった」38.0%で合わせて64.7%と、好印象を与えたこともわかった。


まず、6回のシリーズ広告がどれくらい見られているのか(接触状況)を、事後調査で調べた(図1)。第6回「伝説の水。」が最も高いが、第1回から5回までのスコアと第6回のスコアは性格が異なることには注意が必要だ。

図1:6広告の閲覧記憶状況(事後調査、N=300)

事後調査は第6回が掲載された4月26日当日から5月2日まで行っており、第1回から第5回の広告もその時に、掲載からそれぞれのタイムラグがある状態で聞いている。しかも、第1回から第5回までの広告については、ネット上に縮小表示したものを見てもらいながら聞いているが、第6回のみは手元に用意した夕刊で実物を見てもらいながら聞いている。

その違いから第6回のスコアは、通常掲載翌日までに聞く「広告接触率」「広告注目率※」に近く、同段数で多色の広告の予測値とほぼ近いスコアとなっている。

第1回から第5回のスコアについてみてみると、「確かに見た」という人の割合は第1回が少し高めだが第2回から5回は1割前後で一定になっている。「確かに見た」と「見たような気がする」を合わせたスコアでは、第1回が47.3%と5割近い高さとなっており、徐々に下がっている。掲載日からのタイムラグが忘却と比例しているなら第1回が最も低くなるはずだが逆になっており、第1回や第2回の内容のインパクトが大きかったということになるだろう。
▲ページの上に戻る
調査結果2
シリーズ広告掲載前後でブランドイメージに変化

今回のシリーズ広告は、もともとロイヤルティが高い人のブランド力の強化、高くない人のユーザー化という両方に、その効果が表れた。
三ツ矢サイダーの広告露出は新聞広告だけではなく、テレビや交通広告などさまざまな媒体を使って行われているが、事前調査と事後調査の間の広告接触量が増えたのは新聞広告だけであったため、上記効果は6回の新聞シリーズ広告によるものと考えてよいだろう。

マインドシェアがアップして首位に
ヒントなしに「あなたがご存じの炭酸飲料/透明炭酸飲料の銘柄名を具体的にお聞かせください」という質問に挙がってきた割合(図2)では、「三ツ矢サイダー」は、事前の64.7%から事後の70.7%へ上昇した。

図2:炭酸飲料・透明炭酸飲料の銘柄純粋想起による上位10銘柄(複数回答)

事前では「三ツ矢サイダー」と「コカ・コーラ」がほぼ同率だったが、事後では「三ツ矢サイダー」が6ポイント引き離して単独首位になった。何も見ないで答えることで、消費者の心の中でどの程度のシェアを得ているかがわかる。それがマインドシェアである。

新聞広告の分、全体の広告接触が増加
ここ1カ月に「三ツ矢サイダー」の広告を見た人は事前の45.7%から事後の56.3%に増加した。見た人に何の広告で見たのかを聞いたところ(図3)、「新聞広告」のみが8.0%から26.0%に急上昇している。他の媒体は横バイか減少であるため、新聞広告が伸びた分が全体の広告接触者数の増加になったと考えられる。

図3:「三ツ矢サイダー」の広告を見た媒体:直近1カ月間広告閲覧者(複数回答)

信頼度、好感度とも「非常に」が増加
「信頼度」「好感度」 を事前、事後とも5段階で聞いた(図4)。事前と事後で、「非常に」+「やや」の合計スコアにほぼ変化はないが、事後では「非常に」の割合が増え、「やや」の割合が減っている。もともと持っていた信頼、好感が強まったと思われる。

図4:三ツ矢サイダーの信頼度、好感度

購入意向銘柄トップは変わらないが、購入者が増加
最近1カ月に購入した銘柄で「三ツ矢サイダー」が事前の30.3%から事後の35.7%に増加した。購入銘柄のうち最も買う銘柄でも事前の9.3%から事後の12.7%に増加した。購入意向銘柄では、もともとトップの45.0%で、変化はなかった。

購入意向を刺激
6回の広告に何度接触したかの回数別に集計してみると、純粋想起率のマインドシェア(図5)、信頼度(図6)、好感度、主購入などほとんどの項目が接触回数の多い人ほど高いスコアとなっている。これは、シリーズ広告に多く接するほど効果が出たと単純に考えるよりは、もともと三ツ矢サイダーへのロイヤルティが高い人に回数多く接触して、その人たちのブランドイメージをさらに強化した結果と考えた方が自然だろう。

図5:広告接触回数別「三ツ矢サイダー」純粋想起率(複数回答、事後調査)

図6:広告接触回数別「三ツ矢サイダー」信頼度(事後調査)

一方、三ツ矢サイダーの「今後の購入意向」(図7)のみは、3回接触者が最も高くなった。これは、もともとはロイヤルティの高くない人の購入意向を刺激できたと推定できる。

図7:広告接触回数別「三ツ矢サイダー」今後購入意向者の割合(事後調査)

(国友)

【調査概要】

* 調査期間: 事前調査2007年3月16日~3月19日、事後調査2007年4月26日~5月2日
* 調査地域: 首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
* 調査対象者: 女性20~49歳(読売新聞購読者)(マーシュリサーチモニター)
* 調査数: 事前調査・事後調査各300
* 調査方法: Webアンケート調査
* 調査企画・設計: 読売新聞東京本社広告局
* レターヘッド: マーシュ
* 実査: MRD
▲ページの上に戻る