クロスメディア効果調査
広告への接触がマインドシェアの向上に貢献
特に新聞とTVによる接触パターンが効果的
読売新聞が2006年10月に行った「クロスメディア効果調査」から、自動車の広告についての分析結果を紹介する。
調査期間中に新聞広告が掲載された2つの車種に注目して分析したところ、広告への接触の回数が増えるほど、マインドシェアの向上やWebへの誘導にも効果があることが実証された。特に新聞とテレビをかけ合わせた接触パターンが効果的であることもわかった。
Webへの誘導状況を広告媒体別に細かく分析すると、広告接触回数を重ねることでWebで調べられるようになった車や、接触回数が低い段階でもWebに誘導できている車など、車種によるそれぞれの傾向も見られる。
調査方法と主な調査項目
インパクト・スコアを測る日記式調査
「クロスメディア効果調査」とは、調査対象者に日記式の調査票を配り、広告を見て記憶した企業名とブランド、それを見た広告媒体を記入してもらう調査方法をとっている。
今回の調査では、乗用車、軽自動車、住宅メーカー、医薬品メーカーなどの商品ジャンルを指定し、広告接触状況を調べた。複数のジャンルを指定することで、調査対象者の意識が車だけに行かないようにし、より平常時の広告接触に近い状況になるようにつとめている。
日記式調査に書かれた企業名、ブランド名の件数を「インパクト・スコア」と定義。消費者に企業・ブランド名まで記憶に残すほどインパクトを与えることができた広告接触という意味である。
また、日記式調査の前後には事前・事後調査を行い、ブランドに対する認知やイメージを調査した。
調査結果1
新聞広告掲載日がインパクト・スコアのピークを形成
今回調査の対象となったのは、同じメーカーの2つの車種で、1つはベストセラー小型車(以後、車種A)、もう1つは中型高級車(以後、車種B)。どちらも一般の認知度の高い車種だが、新聞広告との接触によって、さらに認知度が上がったことが確認できた。
図1は、日記式調査による日別インパクト・スコアである。
図1:車種Aの日別インパクト・スコア(日記式調査)

ベストセラー小型車Aでは、新聞広告が掲載された13日が、新聞広告による101ポイントが全体を押し上げる形になって、インパクト・スコアが調査期間中で最も高い日になっている。
新聞広告のスコアが次に高いのは11日の23ポイントだが、実はこの日には新聞広告は掲載されていない。この日の新聞に載っているのは、経済面での車種Aのフルモデルチェンジについての記事である。
調査対象者には「見た広告」について日記に書き込むよう求めているが、一般生活者は「これは広告、これは報道」と明確に区別しながら接しているわけではないため、このような混同が起きているのだろう。しかしながら、報道情報と広告コミュニケーションのタイミングの重要性を改めて示唆する結果となっている。
テレビCMのタイム+スポットの放映本数とテレビのインパクト・スコアの推移を見ると、ほぼパラレルな関係になっていることがわかる。
中型高級車Bでは、新聞広告が掲載された14日が、新聞の54ポイントによって期間中最もインパクト・スコアが高くなっている。14日はテレビのスコアも期間中最も高くなっている。実際にTVCMの放映本数も13・14日が最も多く、新聞広告との相乗効果でピークが形成されている。
図2:車種Bの日別インパクト・スコア(日記式調査)

今回の調査では、読売新聞読者以外に、新聞を購読していない人に対しても同様の調査を行った。
新聞に接していない新聞非購読者は、当然新聞のスコアがほとんどないことに加えて、テレビのスコア獲得率も新聞読者より低くなった。このことから、新聞広告に接することが、テレビCMの接触も押し上げて相乗効果をもたらしているといえるだろう。
調査結果2
広告への接触によってマインドシェアやWebへの誘導効果に変化
一般的に広告目的はといえば、究極はそのブランド・商品の売り上げ増ということになるだろうが、その手前に消費者の心理変容や購買意識の刺激という段階がある。
今回の調査では、インパクト・スコアの数や接触パターンは、マインドシェアやWeb検索の意向、つまり「購買の前段階」に影響を及ぼしていることが分かった。
<1> 広告キャンペーンによってマインドシェアが向上事前調査と事後調査の結果を紹介する。
事後調査は2つの系列に対して行った。「追跡」は事前・日記式調査とも受けている系列への追跡調査。「一般」は、事前調査も日記式調査も受けていない新しい系列への調査である。
「日記式調査」は、覚えている広告を日記に書き込むという行為が広告接触を復習することになり、記憶や情報深度といった広告効果が強めに出る(=調査的な視点ではバイアス)。その程度を確認するために2系列で調査し、結果を比較した。
図3は車種A、Bの純粋想起率である。「乗用車といって思い浮かぶもの」を純粋想起で書いてもらった結果、「車種A」「車種B」と書いた人の割合である。何も見ないで答えることで、消費者の心の中でどの程度のシェアを得ているか(=マインドシェア)がわかる。車種Aは事前調査で35.2%だったものが事後一般で52.1%、事後追跡で65.4%へ、車種Bは事前4.5%から事後一般6.3%、事後追跡21.1%へそれぞれ上昇した。
図3:車種A・Bの純粋想起率

事前の想起率が車種Aの方がずっと高いことから、車種AはBと比べてもともと高い純粋想起力を持っていることが分かる。
ちなみに、純粋想起ではなく、車種A、Bの車名を示しての認知度を別途調べたところ、車種Aは事前、事後問わずほぼ100%だった。車種Aは誰もが知っているブランドなので、車名を示して認知を聞くと全員が知っている、という結果になるが、純粋想起でマインドシェアを測ることによって、広告キャンペーン効果が表れた形だ。同様に車種Bの認知度は事前65.2%、事後一般65.8%、事後追跡80.6%だった。
マインドシェアの上昇は、購入への近道となる。この調査で調べた、「次に車を購入する際に候補にしてもよい車」として選ばれる率でも、車種A、Bとも事後調査で上昇傾向が見られた。
<2> インパクト・スコアが高いほどマインドシェアは向上図4・5は、インパクト・スコア数別の純粋想起率である。車種A、Bともにスコアが高い人ほど事後調査(追跡)での純粋想起率が高まっている。
図4:車種Aのインパクト・スコア数別の純粋想起率(事後追跡調査)

図5:車種Bのインパクト・スコア数別の純粋想起率(事後追跡調査)

図6・7は、日記式調査期間中に掲載された車種A、Bの新聞広告を再認させて、閲覧記憶を事後調査(追跡)で調べたものである。
掲載後1ヵ月以上を経た時点での調査において、インパクト・スコア数が多い人ほど確かな記憶を持っているという結果になった。
車種Aの場合、0か1ポイントだと4割程度しか記憶していないが、3ポイント以上だと8割になり、特に「確かに見た」という人の割合が増えていることがわかる。
図6:車種Aの広告接触記憶(事後追跡調査)

図7:車種Bの広告接触記憶(事後追跡調査)

<3> 接触パターン別の効果:車種Aはクロス型/車種Bは新聞単体型インパクト・スコアを、新聞広告とテレビCMへの接触パターンに注目して、「新聞+テレビ両方」「新聞のみ」「テレビのみ」「新聞、テレビ両方なし」に分類し、純粋想起率の変化を見た。
車種Aは「新聞+テレビ」パターンが71.3%と最も高く「テレビのみ」が続いている。「テレビのみ」で広告接触した人より、プラスして新聞でも接触した人の方がマインドシェアが高まっていることが分かる。車種AはテレビCM投下量が多く、インパクト・スコアの総数もテレビが多い。よって「新聞のみ」のn数がほかと比べると少なめである。
図8:車種Aの接触パターン別純粋想起率(事後追跡調査)

一方、車種Bは「新聞のみ」が最も高く38.0%で、「新聞+テレビ」が31.3%で続いている。車種Bの「新聞のみ」が高い理由としては、車種AよりテレビCMの投下量が少ないことや、新聞読者に含まれるターゲット効率がよかったことなどが考えられる。
図9:車種Bの接触パターン別純粋想起率(事後追跡調査)

車種Aは新聞とテレビのクロス接触が効果をもたらす「クロス型」、車種Bは新聞単体が最も高い「新聞単体型」とそれぞれの特徴が表れている。
図10・11は、事後調査(追跡)での車種A、Bの新聞広告閲覧記憶を接触パターン別に見たもの。
車種Aの広告は純粋想起率の結果と同様に「新聞+テレビ」がもっとも高くなった。車種Bは純粋想起率では「新聞のみ」が最も高かったが、広告閲覧記憶では「新聞+テレビ」が最も高くなった。
図10:車種Aの新聞広告閲覧記憶(接触パターン別、事後追跡調査)

図11:車種Bの新聞広告閲覧記憶(接触パターン別、事後追跡調査)

<4> Webへの誘導状況も車種によって違い事後調査では、広告で見たものをWebで調べた割合、すなわち広告からWebへの誘導状況を事後調査で調べた。
車種AをWebで調べた人は1.7%、車種Bは4.4%だった。インパクト・スコア数別に見ると、車種Aは3ポイント以上で初めて調べる人が出てきている。対して車種Bは1ポイントの人が10.9%で最も高くなっている。
一般への認知度が非常に高い車種Aは、「この車についてはもう知っていて、新たにWebで調べる必要はない」という意識が働くことが障害となるので、実際にフルモデルチェンジしたことをWebで調べてもらうまでには、広告接触回数をある程度重ねて検索意向を醸成する必要があるのではないだろうか。
図12:車種AのWebへの誘導状況(インパクトスコア別、事後追跡調査)

図13:車種BのWebへの誘導状況(インパクトスコア別、事後追跡調査)

(国友)
【調査概要】
* 調査方法:質問紙郵送法
* 調査対象者:MRD消費者モニターよりスクリーニングし抽出(東京50km圏居住者、20代~50代の男女)
* 調査期間:事前調査2006年10月2~8日
日記式調査:10月11日~18日
事後調査:11月15日~21日
* サンプル数:295人 (読売新聞購読者238人、新聞を取っていない人57人)
* 調査企画・設計:読売新聞東京本社広告局
* レターヘッド・実査:MRD
* 実査: MRD