研究レポート
大学生のメディアと広告に対する意識調査(2)
大学生の広告に対する意識と興味の持ち方

読売新聞東京本社広告局では、早稲田大学商学部の嶋村和恵ゼミとの共同で「大学生のメディアと広告に対する意識調査」を行った。その結果を前回に続いて紹介する。調査は2つからなり、第一次調査として、首都圏の大学生を対象としたインターネット調査(2007年8月)、第二次調査として早稲田大学の学生を対象とした自記式調査(同9月)を行った。調査結果を2回にわたってお届けする。今回は第一次調査、第二次調査両方の結果を用いて、広告についての意識を紹介する。

調査結果1
学年が上がるほど企業広告の受容度が増す

まず、広告への興味について、広告の内容別に聞いた。

図1 興味ある広告

全体で見ると「興味を持っている商品の広告」「新商品の発売を伝える広告」などが上位に来る。これを学年別に見ると、ある傾向が出てきた。

図2 <学年別>興味ある広告

学年が上がるほど興味度も上昇傾向となるグループAと、学年による傾向のないグループBに分けることができる。グループAで、「興味を持っている商品の広告」「広告表現がよいもの」が上昇したのは、就活経験などで社会意識が向上して、広告への意識も上がったことの表れと考えられるだろう。グループAの残り3つはいずれも企業広告。新聞広告が得意とする分野である。企業広告は受け手が一定の社会常識を持っていることを前提にしている場合が多いが、この調査結果から、大学生は企業広告を受容する力をつけてきていると言える(「企業の考え方が伝わる広告」のみは、上昇度合いに有意差はないが、31%→33% →34%となっているのでAグループに入れた)。
一方、興味度が学年に関係ないグループBの「タレントが出ている広告」「具体的なデータが示された広告」などは、受け手のレベルに関係なく訴求できる手法だということになろう。
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調査結果2
新聞は信頼できる広告媒体と認識

次に、広告の媒体別による注目度と信頼度を聞いた。

下の図を見てみよう。(4段階で聞いたうちの「とても」+「やや」の計)

図3 媒体別広告注目度・信頼度

注目度では、①交通広告②テレビCM③屋外広告④雑誌広告⑤ネット広告⑥新聞広告⑦ラジオCMの順。
信頼度では①テレビCM②新聞広告③交通広告④屋外広告⑤雑誌広告⑥ラジオCM⑦ネット広告となる。
前回触れたように、大学生は就活などを経て新聞に親しむ途上にあり、新聞広告への注目度はほかの媒体に比べて高いとはいえないが、信頼度では急上昇する。注目はそれほどしていなくても、信頼できる広告媒体だということは認識しているということになる。
新聞広告への注目度と信頼度を学年別に見てみよう。

図4 新聞広告の注目度

図5 新聞広告の信頼度

いずれも、学年が上がるほど上昇傾向にある。
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調査結果3
大学生が興味を持つ新聞広告とは

ここからは、第二次調査として早稲田大学の学生227名を対象に行った自記式調査の結果を紹介する。

この調査は、広告内容にバラエティを持たせた15種類の新聞広告をA4サイズ程度に縮小したものを実際に見ながら、「広告に興味があるか」「興味がある理由は広告表現(クリエイティブ)か、広告内容か」などについて答えてもらったもの。
調査した15広告のうち、興味度合いが5割を超えた上位10広告が下図。

図6 興味ある広告ベスト10



最も興味度が高かったのは、2007年の日本映画最大のヒット作「HERO」の広告(82.8%)で頭一つ出ている。続いて「日立」の企業広告、「NTTドコモ 904i」、「伊勢丹」、「NTTドコモ704i」の4広告が7割超となっている。
興味要因は「広告表現」か「広告内容か」
各広告を興味があると答えた人に、興味を引かれたのは「広告表現(クリエイティブ)が優れていること」「広告されている内容や商品が自分の関心があるものであること」どちらの要因が強いかを聞いた。
「広告表現」と「広告内容」は切って切り離せるものではないが、パッと見てその広告に興味を持つ理由を二者択一にして究極的に選ぶとどうなるかを見てみた。

図7 その広告に興味を持ったきっかけ
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広告表現の方が強いものは「大塚製薬」(94.7%)、「伊勢丹」(92.5%)、「NTTドコモ」904i(79.1%)、「伊藤園」(75.2%)など。
広告内容の方が強いものは「日立」(63.4%)、「大正製薬」(59.0%)など。
広告表現は9割を超すものもあるが、広告内容はもっとも高い「日立」でも6割強で、スコアのレベルがかなり違っている。興味を持つきっかけとして、広告表現がまず訴求するようだ。そんな中で、「広告内容」が「広告表現」を20ポイント以上上回る「日立」「大正製薬」などは、強い広告内容を持っているといえる。
広告についての感想から、広告がどのように捉えられたか見てみたい。調査した15の広告からもっとも興味・関心があるものを1つだけ選び、それについて感想を書いてもらったもの。

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「日立」の広告に対する感想

・現在の日本企業は円熟していて、製品の差別化は難しくなっている。だからこそ企業の社会貢献の度合いがよく分かる企業製品を購入したいと思い興味を持った。(2年生男)
・まず写真はインパクトがあった。空き地に子供がいて、手を振って笑う様子はとても印象的で、興味を引かれた。そしてその内容に集目し、思わずHITACHIの事業内容に感心した。私はもともとHITACHIのような物作りの会社に興味はなかったけど、HITACHIって素晴らしい仕事をして、社会貢献しているなあと思った。内容とクリエイティブ両方考えて良いと思った。(3年生女)
・「つくろう」と言われて何を作るのかが気になる。読んでみると、知らなかったこと(日立について)に、へぇ~と思う。(4年生男)

「大正製薬」の広告に対する感想

・デザインのユニークさがそのまま商品の説得力に通じていて、かつインパクトもあるものであったので、広告として最も理想的な形だったと思う。(4年生男)
・いつかお世話になるかもしれない情報にひかれた。ハゲるプロセスをビジュアルで表現していて見やすかった。(4年生男)
・悩まされている男性方には悪いけれど、ハゲをパターン化して、どう進行していくかを見やすくしているという点で、目に入り、同時に吹き出した。「うん、確かに、こんな人街中で見る」と一番印象に残っている。色も単調で、パッと見、地味だが、その分気になるとじっと見入ってしまう。(2年生女)

感想を読むと、広告内容に引かれていても、その入り口には訴求力のある広告表現があることがわかる。「広告表現」の引きが強かった2つの広告の感想も見てみよう。

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「大塚製薬」の広告に対する感想

・大豆と鬼は一見結びつかないように思えるが、節分というキーワードで結びつくことに気付き、納得させられ印象に残った。スゴイダイズって大塚製薬だったのか…と思った。(1年生女)
・鬼の絵にまず目がいった。よく見ると点線が入っており、何が作れるのかなと考え込んだ。それで、広告全体を見てたいして興味の無かった大豆飲料の紹介もついでに見てしまった。(3年生男)
・全体が赤いので目を引く。更に顔と点線がついていて、何ができるのか気になる。節分→豆まき→大豆→スゴイダイズというのが面白い。(2年生女)

「伊勢丹」の広告に対する感想

・コピーをあえてつけないことにより、訴求ポイントが明確になっている。背景を白と赤にすることにより、シンプルながらも鮮やかな広告になっている。昔から変わらないトーンで、百貨店の歴史の重さが感じられる。(3年生男)
・色づかいの良さがパッと目を引く。コピーが全くないにも関わらず、言いたいことがだいたい伝わってくる。(3年生男)
・画面が華やかで、一番印象に残ったから。もともと衣料品を多く扱っていることで有名なデパートであるということを知っているため、ゴチャゴチャ文字で説明されるよりも、このような写真の方がイメージがよく伝わってきたから。(4年生女)

2つの広告の感想に共通するのは、広告表現に強いインパクトを感じているのだが、それだけにはとどまらず、広告内容や目的について考え、受け止めているということだろう。

図8は、その広告に興味あるなしにかかわらず、調査対象者全員に広告表現と広告内容への関心を改めて聞いたもの。

図8 広告表現評価・関心

大まかには図7の興味要因での傾向と似た結果になっている。つまり興味要因として広告表現の方が強かったものは、図8でも広告表現のスコアの方が高い。しかし少し詳細に見ると、図7は二者択一、図8は絶対評価という差が出てくる。例えば「日立」は、二者択一で聞いた図7では表現32.9%:内容63.4%でダブルスコアに近いが、それぞれの絶対を聞いた図8では表現58.6%:内容68.7%と2つがかなり近づいている。伊勢丹は図7では表現92.5%:内容4.3%と広告表現が圧倒的だったが、図8では表現64.3%:内容41.0%でこれまた拮抗してきている。
図7の二者択一で広告表現に寄った広告は、クリエイティブ力の高さの結果である。広告内容に寄った広告のクリエイティブが優れていないかと言うとそういうことではない。紹介したのは興味ある広告として高いスコアを得たものばかりであり、広告内容が支持されたものは、優れた表現を凌ぐ強い内容を持っていたと言うことだろう。

興味を持った理由を「広告表現」と「広告内容」を二者択一で選ぶ、という試みの結果として、表現先行の広告群、内容先行の広告群ができることがわかり一定の成果は出たと考えている。ただし、なぜ先行したかをタイプごとにまとめたいと思ったが、広告ごとのコミュニケーションの過程が違いすぎて無理だった。千差万別の広告目的にベストなクリエイティブが1件1件考えられているのだから、当然コミュニケーションの課程は異なる。それをまとめられないのは当然だと、広告の作り手に言われてしまいそうであるが、今回の試みが新聞広告を作る方々の発想の刺激にでもなれば幸いである。

(国友)

調査概要(第一次調査)

* 調査期間 : 2007年8月2日(木)~6日(月)
* 調査地域 : 首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
* 調査対象者 : 4年制大学在籍者(マーシュリサーチモニター)
* サンプル数 : 400(1学年100名、男女半々)
* 調査方法 : Webアンケート調査
* 調査企画・設計 : 早稲田大学商学部 嶋村和恵ゼミ、読売新聞東京本社広告局
* レターヘッド : マーシュ
* 実査 : MRD

調査概要(第二次調査)

* 調査期間 : 2007年10月1日(月)~16日(火)
* 調査対象者 : 早稲田大学商学部の学生
* サンプル数 : 227
* 調査方法 : 自記式調査
* 調査企画・設計・レターヘッド : 早稲田大学商学部 嶋村和恵ゼミ、読売新聞東京本社広告局
* 実査 : 早稲田大学商学部 嶋村和恵ゼミ