研究レポート
新聞広告が商品認知向上に果たした役割
「Attention」「Interest」に効果

読売新聞では、ボルボ・カーズ・ジャパンの協力を得てボルボの2車種「C70」と「C30」の広告の掲載効果についての調査を行った。「C70」はコンバーチブルのクーペで価格帯は400万円台、年代ターゲットは40代中心。「C30」はボルボとしては低価格帯の300万円台で、若めの30代がターゲット。スタイリッシュなデザインとiPodとの接続ができる優れたオーディオシステムがポイントの車だ。
「C70」の全面広告は2007年9月28日朝刊、「C30」の全面広告は同11月16日朝刊に掲載された。





それぞれの広告掲載直後に行った2回の調査は、高価格帯の自動車購買層に絞って行った。具体的には、読売新聞読者で今後3年間以内に 201万円~800万円の車の購入予定があること。かつ購入する車を自分で決めるか、少なくとも意見が言える人をスクリーニングした。対象者の年代は、1回目(C70)は30~59歳、2回目(C30)は、ターゲット層が若めであることから20代を加えて、20~59歳とした。

調査結果1
高関与者は、広告をしっかり記憶している

まずは、掲載された広告の記憶程度を「確かに見た」「見たような気がする」「見た覚えはない」の3段階で聞いた。

最初は「VOLVO C70(C30)の広告」という言葉だけを提示して広告現物を見ないで聞き(助成想起)、第2段階で対象者が手元に用意した新聞で広告現物を見たうえで再度聞いた(再認想起)。新聞広告の効果調査では通常、広告を再認して見た記憶を聞くが、助成レベルと広告再認レベルの両方を測ると広告接触のいろいろな状況が見えてくる。

図1 「VOLVO C70」の記憶状況

図2 「VOLVO C30」の記憶状況

 「C70」の「見た計」(「確かに見た」+「見たような気がする」)は、助成想起時76.8%、再認後82.4%で5.6ポイント増えた。「見たような気がする」の割合はほぼ変わらず、「確かに見た」が上昇している。「C30」は、「見た計」で助成→再認で3.8ポイント増、「確かに見た」が6.5ポイント増えて、「見たような気がする」は減っている。広告現物を確認することで、あいまいだった記憶が確認されて「ような気がする」が「確かに」に転じたり、「見た覚えがない」と思っていた人が、この広告なら見たかも、と思い直したりした結果だろう。
 ちなみに、再認レベルの「見た計」(=広告接触率)はC70とC30とも82.4%と同じスコアになったが、これは読売新聞の平均値とほぼ同じ。助成レベルのデータは蓄積がないため比較はできないが、経験的には助成→再認で数ポイントしか上昇しないのは、上昇度合いが低いと推測される。
 理由は二つ考えられる。一つは調査対象を高価格帯の自動車購入予定者という関心が高い層であったため、広告にしっかり接触していたこと、もう一つは車種ブランド名まできちんとコミュニケーションできるよくできた広告だったということである。

男性の方が、記憶レベルが高い

男女別に見ると、「見た計」の上昇具合にはそれほど違いがないが、「確かに見た」は「C70」で男性のアップが3.7ポイントなのに対し、女性は9.5ポイント、「C30」でも男性5.2ポイント、女性11.2ポイントと、女性の方が「確かに見た」の増加分が多い。自動車という男性の関与度が高い商品だけに、広告を見た際に企業名、商品ブランド名まで認知した割合が男性の方が多く、広告現物を再認しなくても確かな記憶として残っていたということだろう。

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VOLVO購入予定者はC70の広告をしっかり認知

次に購入する車の候補に「VOLVO」車が入っている人と入っていない人でも同様に見てみよう。「C70」では、「次期候補はVOLVO以外」の人では、「確かに見た」割合が助成→再認で5.7ポイント上昇しているのに対し、「VOLVOが次期候補」の人は、「見たような気がする」が多少増えているものの、「確かに見た」は助成想起と再認後で全く変わらない。「VOLVOが次期候補」というまさにターゲットそのものの人は、広告の再認をするまでもなく、しっかりと認知していたということになる。

VOLVOファン層以外も反応したC30

これが「C30」では事情が少し異なる。「VOLVOが次期候補」で助成→再認で「確かに見た」が12.5ポイントも上昇している。若年層をターゲットにした「C30」はいわゆるVOLVOらしい車ではないので、オーソドックスなVOLVOファンとは違う層が反応したということではないだろうか。
また、下記の図3と図4は、助成レベルでの広告接触を男性年代別と次期購入車の予定価格帯別に見たものである。

図3 助成想起状況(年代別)

図4 助成想起状況(次期購入車の予定価格帯別)

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年代別では「C70」は男性40代、「C30」は30代と50代が高めである。予定価格帯では、「C70」は400万円台、「C30」は300万円台と501~800万円が高めとなっている。

図5 広告を見た程度

図5は広告を読んだ程度で、「細かな文字まで読んだ」のは「C70」は40代、「C30」は30代という結果だ。「C70」で反応が高い「40代」「400万円台」がオーソドックスなVOLVOファンであり、「C70」の広告はもともとVOLVO車を買いたい人に対してストレートに届いたということだろう。
一方、「C30」は、狙い通り若めの30代にヒットしており、もともとVOLVO車を買いたい人とは違う層もかなり取り込めている。なお「C30」には 50代も反応している。これは、新規VOLVOターゲット参入の30代とは異なった反応のはずで、ライフスタイルの変化やセカンドカーなどのニーズなどが背景にあるのではないだろうか。
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調査結果2
広告接触によって認知がどのくらい進んだか

次に、広告掲載前後での商品認知の違いを見てみよう。

図6 車についての認知程度

上記の図6は、それぞれの車についての認知を4段階「性能・特徴を詳しく知っている」「性能・特徴をある程度知っている」「名前だけ知っている」「知らない」で聞いたものを広告掲載の前後で比較したもの。「C70」では「知らない」の14.0ポイントが認知に転じた。「ある程度知っている」の増加が 10.0ポイントで最も多い。「C30」は7.9ポイントが認知に転じており、「ある程度知っている」と「名前だけ知っている」が同じくらいずつ増えている。
具体的には、広告を再認する前に認知程度を聞き、再認後に広告を見る前の認知程度がどうだったかを聞いた。再認後に聞けば、実際には新聞で当該広告を見ていなかった人でも、調査のために広告を見たことによって認知が進んだ効果が混じるが、再認前であれば、実際の広告接触のみの効果を測ることができるというわけだ。

「Attention」「Interest」効果
この結果からわかるのは、新聞広告によって名前も知らなかった人が「名前は知っている」に、名前だけ知っていた人が「ある程度知っている」と自覚するレベルにそれぞれ格上げすることができたということである。これにネットやカタログで調べるなどの自発行動が加わって「詳しく知っている」と自覚するようになるのだろう。コミュニケーションモデル「AISAS」でなぞらえてみよう。マス広告は「Attention」「Interest」への効果を期待されているはず。今回の調査結果から、「名前だけ知っている」への変化が「Attention」効果、「車の性能・特徴をある程度知っている」への変化が「Interest」効果だと言えるだろう。広告接触に加えて「Search」が行われると「車の性能・特徴を詳しく知っている」状態になると考えることができる。

広告を見て購入候補に
最後に、「C70」「C30」それぞれの次期購入候補状況を図7に示した。
図7 次期購入候補状況

購入候補とする人の割合は、「C70」が18.8%、「C30」が21.4%。いずれも「広告を見る前から」より「広告を見て」とする人の方が圧倒的に多かった。「広告を見て候補にした」人が即購買候補者になるわけではなく、これをきっかけに車についてしっかり調べ、有力な購入期待層ができていくわけだが、そのためにできるだけ多くの候補者をスタートラインに立たせるという新聞広告の役割はきっちり果たしたと言えるのではないだろうか。

(国友)

調査概要

①C70の広告についての調査
* 調査期間 : 2007年9月28日(金)~10月1日(月)
* 調査地域 : 首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
* 調査対象者 : ①読売新聞購読者 ②30~59歳の男女 ③今後3年間に201~800万円の車の購入予定がある(マーシュリサーチモニターよりスクリーニング)
* 割付条件 : ①男性75%、女性25%
②購入する車の決定を「自分ひとりで決める」または「家族の意見を参考にしながら主に自分が決める」75%、「自分の意見も参考にされるが、主に自分以外の家族が決める」25%
* サンプル数 : 250
* 調査方法 : Webアンケート調査
* 調査企画・設計 : 読売新聞東京本社広告局
* 実査 : MRD

調査概要

②C30の広告についての調査
* 調査期間 : 2007年11月16日(金)~19日(月)
* 調査地域 : 首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
* 調査対象者 : ①読売新聞購読者 ②20~59歳の男女③ 今後3年間に201~800万円の車の購入予定がある(マーシュリサーチモニターよりスクリーニング)
* 割付条件 : ①男性75%、女性25%
②購入する車の決定を「自分ひとりで決める」または「家族の意見を参考にしながら主に自分が決める」75%、「自分の意見も参考にされるが、主に自分以外の家族が決める」25%
* サンプル数 : 290
* 調査方法 : Webアンケート調査
* 調査企画・設計 : 読売新聞東京本社広告局
* 実査 : MRD