<寄稿>「国内・海外旅行」「住宅・マンション」「金融商品」の購買に影響力のある広告媒体は?
―ビデオリサーチ「購買プロセスと情報源に関する調査」より―
(株)ビデオリサーチでは、一般生活者の購買行動へ影響を与える情報源を“メディア・ニュートラル”な視点で捉えることを目的として、『購買プロセスと情報源に関するデータ集』を毎月リリースしています。この商品は、毎月ある特定の商品カテゴリを選定し、「ブランドが選択されるタイミング」や「購買に至るまでの各広告効果プロセスで影響力のある情報源」を調査したデータをまとめたものです。今回は、「国内・海外旅行」「住宅・マンション(賃貸を除く)」「金融商品」の3つの商品カテゴリについて、全29情報源の中から「新聞広告」に注目して広告効果プロセスをご紹介します。
調査結果1
「国内・海外旅行」ジャンルにおいて、「新聞広告」は内容理解・レスポンス喚起の影響力上位
「国内・海外旅行」(2006年3月調査)において、「新聞広告」は「テレビCM」に次いで、見聞きした経験者が多い情報源
まずは、「国内・海外旅行」について、見聞きした経験のある情報源を調査しました。
見聞きした経験は、情報源ごとの特徴による注目度の違いがスコアに反映される一方で、情報源ごとの露出量の影響を受ける側面もある指標です。<表1>は情報源ごとの見聞きした経験のスコアです。
表1:「国内・海外旅行」について各情報源の接触経験

「新聞広告」は67.7%で、「テレビCM」(81.9%)に次いで見聞きした経験者が多い情報源となっています。
続いて、見聞きした経験のある情報源について、8項目の広告効果プロセス(表2参照)を提示し、見聞きしたときの気持ちや態度にあてはまるプロセスを聞きました。
<グラフ1>は、情報源の中でAD(アド)として分類している14項目について、広告効果プロセスごとのスコアをグラフにしたものです。
グラフ1:「国内・海外旅行」についてAD情報源の広告効果プロセスごとのスコア

「新聞広告」は、内容理解(25.7%)、レスポンス喚起(14.2%)、購入意向喚起(15.3%)において、AD(アド)の中では接触経験者に対し最も影響力のある情報源となっています。
「新聞広告」は内容理解・レスポンス喚起力は能動的情報収集レベル 次に、全29情報源の中で広告効果プロセスごとにスコアの高かった上位5つの情報源をまとめたのが<表2>です。
表2:「国内・海外旅行」について広告効果プロセスごとの上位5つの情報源

「新聞広告」は、内容理解とレスポンス喚起で上位の情報源となっています。内容理解やレスポンス喚起で他に上位となっている情報源は、「商品カタログ・パンフ・リーフ」や「店員の推奨」のように請求や来店など実際の行動を伴った後に接触する情報源や、「インターネットの情報サイト」など情報量の多いコンテンツ系の情報源となっています。
「新聞広告」は、内容理解とレスポンス喚起という広告効果プロセスにおいて、AD(アド)の中では唯一、これらの情報源と同等に影響力のある情報源となっています。
実質影響力を見る また、最初にご紹介した接触経験は、調査対象者全体を母数にしたスコアですので、いわば量的な指標となります。反対に、広告効果プロセスごとのスコアは、各情報源の接触経験者を母数にしたスコアですので、質的な指標といえます。
次に、量的な指標である接触経験のスコアをx軸、質的な指標である広告効果プロセスから内容理解とレスポンス喚起のスコアをそれぞれy軸に、各情報源をプロットしました。右上にプロットされるほど、各広告効果プロセスで量的に“実質的な影響力”のある情報源となります。接触経験と内容理解のプロット図<グラフ2>を見ると、「新聞広告」は全情報源の中でも右上に位置していることが分かります。
グラフ2:「国内・海外旅行」について接触経験と内容理解のプロット図

接触経験者が最も多い「テレビCM」は内容理解のスコアが平均を下回っています。ここで、量的な指標(接触経験)と質的な指標(接触経験者を母数にした内容理解)を掛け合わせることで、“実質的な影響力”のスコアを算出すると、「新聞広告」が17.4%、「テレビCM」が11.5%となり、内容理解における“実質的な影響力”では、「新聞広告」が「テレビCM」を上回っています。
また「新聞広告」の“実質的な影響力”は、全情報源の中でも「商品カタログ・パンフ・リーフ」(18.4%)に次いで高くなっており、「国内・海外旅行」の内容理解において「新聞広告」が大きな影響力を持った情報源であることが分かります。
接触経験とレスポンス喚起のプロット図<グラフ3>を見ても同様の傾向にあります。
グラフ3:「国内・海外旅行」について接触経験とレスポンス喚起のプロット図

レスポンス喚起における“実質的な影響力”は、「新聞広告」は9.6%で「テレビCM」(4.6%)を上回り、全情報源の中でも最も高くなっており、「新聞広告」は「国内・海外旅行」のレスポンス喚起において最も影響力のある情報源となっています。
*本文では、“実質的な影響力”の算出方法を「量的な指標(接触経験)と質的な指標(接触経験者を母数にした各広告効果プロセス)を掛け合わせる」とご紹介しました。『購買プロセスと情報源に関するデータ集』を利用すると、調査対象者全体母数の広告効果プロセスごとのスコアを集計できますので、簡単に“実質的な影響力”を確認できます。
調査結果2
「住宅・マンション」では「新聞広告」「新聞折り込みチラシ」が2大影響力
見聞きした経験者が多い情報源では、「新聞広告」は3位、「新聞折り込みチラシ」は1位
続いて、「住宅・マンション(賃貸を除く)」について調査した結果(2006年5月調査)をご紹介します。
住宅・マンション(賃貸を除く)」について、情報源ごとの見聞きした経験のスコアをまとめたのが<表3>です。
表3:「住宅・マンション(賃貸を除く)」について各情報源の接触経験

「新聞広告」は68.7%で3番目に見聞きした経験者が多い情報源となっています。また「新聞折込チラシ」が77.3%と「テレビCM」(75.7%)を上回り、最も見聞きした経験者が多い情報源となっていますので、「新聞広告」に加え、「新聞折込チラシ」にも注目をしていきます。
「新聞広告」と「新聞折込チラシ」は、「住宅・マンション(賃貸を除く)」の新発売認知において、影響力のある上位2つの情報源ここでは、先ほどとは逆にプロット図から見ていきます。接触経験のスコアをx軸、広告効果プロセスから「新聞広告」と「新聞折込チラシ」がともに上位だった新発売認知のスコアをそれぞれy軸に、各情報源をプロットしたのが<グラフ4>です。
グラフ4「住宅・マンション(賃貸を除く)」接触経験と新発売認知のプロット図

プロット図を見ると、「新聞広告」「新聞折込チラシ」ともに他の情報源と大きく離れた右上に位置していることが分かります。ここで「国内・海外旅行」と同様に“実質的な影響力”を算出すると、「新聞広告」が42.7%、「新聞折込チラシ」が49.8%となっていて、「住宅・マンション(賃貸を除く)」の新発売認知において影響力のある上位2つの情報源となっています。
「新聞折込チラシ」では、ここでご紹介した新発売認知に加え、親しみ醸成、内容理解、レスポンス喚起、購入意向喚起、口コミ喚起と8広告効果プロセス中6 項目で“実質的な影響力”が最も高くなっており、「住宅・マンション(賃貸を除く)」において「新聞折込チラシ」は大きな影響力を持った情報源となっています。
次に、AD(アド)に分類される14情報源について広告効果プロセスごとにスコアをグラフにしたのが<グラフ5>です。
グラフ5「住宅・マンション(賃貸を除く)」についてAD情報源の広告効果プロセスごとのスコア

「新聞広告」は、AD(アド)情報源の中で新発売認知(62.1%)と内容理解(18.4%)で3番目となっています。一方「新聞折込チラシ」は、親しみ醸成(16.1%)、内容理解(25.0%)、レスポンス喚起(7.2%)、購入意向喚起(7.9%)において、AD(アド)情報源の中で接触経験者に対し最も影響力を持つ情報源となっているのに加え、他の広告効果プロセスでも上位となっています。
さらに、全29情報源の中で広告効果プロセスごとにスコアの高かった上位5つの情報源をまとめたのが<表4>です。
表4:「住宅・マンション(賃貸を除く)」について広告効果プロセスごとの上位5つの情報源

「新聞広告」は、新発売告知で上位の情報源となっています。また、内容理解でも8番目と比較的上位の情報源となっています。一方「新聞折込チラシ」では、新発売告知(64.5%)、内容理解、レスポンス喚起など5広告効果プロセスで上位5つの情報源になっています。ここからも「住宅・マンション(賃貸を除く)」において「新聞折込チラシ」が大きな影響力を持つ情報源であることが分かります。
調査結果3
「金融商品」ではレスポンス喚起に最も影響力のあるのが「新聞広告」
「新聞広告」は「テレビCM」に次いで接触経験者が多い情報源
次に、「金融商品」(2007年2月調査)についての各広告効果プロセスにおける「新聞広告」の影響力を確認していきます。
<表5>は「金融商品」における情報源ごとの見聞きした経験のスコアです。
表5:「金融商品」について各情報源の接触経験

「新聞広告」は60.7%で、「テレビCM」(83.0%)に次いで2番目に接触経験者が多い情報源となっています。
「新聞広告」は、内容理解やレスポンス喚起で最も影響力のある情報源 続いて、AD(アド)に分類される情報源について広告効果プロセスごとにスコアをグラフにしたのが<グラフ6>です。
グラフ6:「金融商品」についてAD情報源の広告効果プロセスごとのスコア

「新聞広告」は、上記「国内・海外旅行」や「住宅・マンション(賃貸を除く)」でも影響力があった内容理解(15.0%)やレスポンス喚起(9.0%)において、AD(アド)の中では接触経験者に対し最も影響力のある情報源となっています。
次に、全29情報源の中で広告効果プロセスごとにスコアの高かった上位5つの情報源をまとめたのが<表6>です。
表6:「金融商品」について広告効果プロセスごとの上位5つの情報源

「新聞広告」はレスポンス喚起で上位の情報源となっています。AD(アド)の中で接触経験者に対し最も影響力のあった2項目の広告効果プロセスのうち、内容理解では「店員の推奨」や「商品カタログ・パンフ・リーフ」の、行動をともなった後に接触する情報源や、「新聞記事」「インターネットの情報サイト」など情報量の多いコンテンツ系の情報源よりスコアが下回っていることが多いですが、レスポンス喚起ではこれらの情報源にほぼ匹敵する、あるいはこれらの情報源を上回る影響力を持っています。
最後に、接触経験のスコアをx軸、広告効果プロセスからレスポンス喚起のスコアをそれぞれy軸に、各情報源をプロットしたのが、<グラフ7>です。
グラフ7:「金融商品」について接触経験とレスポンス喚起のプロット図

「新聞広告」は、他の情報源とはやや離れた右上にプロットされています。接触経験者が最も多い「テレビCM」はレスポンス喚起のスコアが平均を下回り、レスポンス喚起のスコアが高い「友人・知人のコメント」や「インターネットの情報サイト」は、接触経験で平均を下回っています。ここで「国内・海外旅行」と同様に“実質的な影響力”を算出すると、「新聞広告」は5.4%となり、全情報源の中でも最も高くなっており、「新聞広告」は「金融商品」のレスポンス喚起において最も影響力のある情報源となっています。
「ブランドが選択されるタイミング」はいつか
「新聞広告」が影響力を発揮するのは、事前に情報収集して熟考してからブランド選択するタイプの商品
ここまでは、「国内・海外旅行」「住宅・マンション(賃貸を除く)」「金融商品」の「購買に至るまでの各広告効果プロセスで影響力のある情報源」に関するデータを確認してきましたが、最後にこの3商品カテゴリの「ブランドが選択されるタイミング」に関するデータを確認します。
「ブランドが選択されるタイミング」に関するデータでは、調査商品カテゴリについて、「商品を購買する際にどの段階でブランドを決定しているか」を明らかにしています。具体的に言うと、下記5段階のタイミングを提示し、調査商品カテゴリの商品を購入する際の気持ちや態度に最も近いものを調査しています。
<“ブランドが選択されるタイミング”5段階>
タイミング① 事前に買おうと決めていないが、店頭で思わず買う
タイミング② 事前に商品は買おうと決めているが、ブランドは購入時に決めて買う
タイミング③ 事前にブランドまで決めているが、購入時に別のブランドを選んで買う
タイミング④ 事前にブランドまで決めており、購入時にもそのブランドを選んで買う
タイミング⑤ 自分でその商品を買うことはほとんどない
<表7>は、「国内・海外旅行」「住宅・マンション(賃貸を除く)」「金融商品」の「ブランドが選択されるタイミング」に関するデータをまとめたものです。
表7:“ブランドが選択されるタイミング”に関するデータ

「国内・海外旅行」と「金融商品」は、タイミング④(事前にブランドを決めており、購入時でもそのブランドを選んで買う)が最も多く、購入経験者(タイミング①~タイミング④の合計)に限ると半数以上がタイミング④となっています。「住宅・マンション(賃貸を除く)」では、実際に行かなければ物件が分からないという側面もあり、最も多いのはタイミング②(事前に商品は買おうと決めているが、ブランドは購入時に決めて買う)となっていますが、タイミング④もほぼ同じくらいのスコアとなっています。タイミング④でブランドを選択することが多い商品カテゴリは、ブランドを決定するまでに事前に情報を入手して、熟考するような商品カテゴリが多い傾向にあります。今回取り上げた3商品カテゴリを見る限りでは、「新聞広告」は、ブランド選択において事前に情報を必要とする商品カテゴリの広告効果プロセス(主に内容理解やレスポンス喚起)でより影響力を発揮する情報源であることが伺えます。
((株)ビデオリサーチ テレビ事業局 広告事業推進部 石井一成)
調査概要
調査地域 : 東京30km圏
調査対象者 : 満13~59歳の男女個人
調査方法 : 留置調査法(訪問)
目標有効標本数 : 600人
調査スケジュール : 原則毎月1回、1商品カテゴリー実施
調査開始時期 : 2005年4月より調査開始
調査企画・実施 : (株)ビデオリサーチ
※テレビコマーシャルカルテをベースに実施