研究レポート
ソニー「Creator’s DNA」キャンペーンに見るクロスメディア効果

ソニーは、デジタルハイビジョン機器の開発者に焦点を当て、「ものづくりの魂」を訴求する「Creator’s DNA」キャンペーンを展開している。該当するのは、デジタルカメラ「サイバーショット」、デジタル一眼レフカメラ「α」、デジタルビデオカメラ「ハンディカム」という3つの商品である。
読売新聞では、ソニーマーケティングの協力を得て関連広告の効果調査を行った。対象となったのは、読売新聞に4回にわたって掲載された新聞広告、読売新聞に折り込まれた別刷りタブロイド、月刊誌「DIME」に掲載されたタイアップ広告の3つ。 新聞広告は2007年10月28日、11月18日、2008年2月10日、2月24日の各朝刊に全面多色広告として掲載された。 掲載広告

2007年10月28日
2007年11月18日
2008年2月10日
クリックすると拡大表示されます


ソニーの技術者が「色表現」のテストのために遊園地に足を運んで試験撮影する話、暗い場所での撮影テストのためバーを訪れる話、手ブレ補正技術開発のために人間の体の癖を徹底的に測定する話などが表現されている。

「DIME」タイアップ広告
別刷りタブロイド
クリックすると拡大表示されます


 別刷りタブロイド(8ページ)は、3月8日の朝刊に折りこまれた。5人の技術者の話が記事体広告で表現されている。「DIME」タイアップ広告は3月4日発売号に掲載された。調査はこれら3つの広告の接触状況とクロスメディア効果を見ることを目的に行った。

結果の概要
一連の広告によって、強化されたイメージは…
「伝統ある技術のDNAが受け継がれている」
「技術者が魂を込めて作っている」
「ユーザーの立場で開発している」
本紙広告はリーチ、別刷りタブロイドは理解・興味に強み
マインドシェアと購入意向にクロスメディア効果
新聞ははっきりした記憶で強く、テレビはあいまいな記憶で強い

監修者嶋村先生のコメント
監修者広瀬先生のコメント

調査結果1
広告によるマインド変化は

まず、広告掲載によるマインド(印象)変化についての調査結果である。

「ソニーのデジタル映像製品」についての印象6項目のうち、広告を見たことによって変化したのは「伝統ある技術のDNAが受け継がれている」「技術者が魂を込めて作っている」の2項目だった。
6項目についての同じ設問を、調査で一連の広告を再認する前と後に2回聞くことによって調べた結果である。調査対象者には、一連の広告をすでに見ている人も見ていない人も含まれている。見ていなかった人にとっては、調査のために広告を再認することが初めての広告接触で、それによって変化があれば2回目の設問に表れるというわけであり、調査によって擬似接触状況を作ったということである。その結果が図1である。

図1 ソニー映像機器の印象(N=300、単位:%)

上位に来たのは「新しい映像技術に挑戦している」「信頼できるブランドだ」。これらは1回目と2回目で変化がない。ソニーのデジタル映像製品の強く揺るがないイメージだということになる。
2回目に上昇したのは、「伝統ある技術のDNAが受け継がれている」「技術者が魂を込めて作っている」「ユーザーの立場で開発している」。これらが広告によって促進されたイメージということになる。「ものづくりの魂」を訴求する「Creator’s DNA」キャンペーンの意図が確かに伝わっていることがわかる。
▲ページの上に戻る
調査結果2
本紙広告はリーチ、別刷りタブロイドは理解・興味に強み

次に媒体別の広告接触とその効果を見てみよう。

図2は広告の認知から行動まで5段階での効果状況を表したものだ。広告の認知から印象、理解、興味を経て行動に至る、見込み客が絞り込まれていく状況を示している。

図2 段階別効果状況(N=300、単位:%)

 各レベルの具体的調査項目は以下の通り。
認知広告を「見たことがある」「見たような気がする」「見たことがあるような気がするが、どこで見たか覚えていない」
印象「この広告が印象に残った」
理解「この広告の内容がわかった」
興味「この広告でソニーのデジタルカメラやハンディカムなどの映像機器に興味を持った」
行動「ソニーのHPやWebで情報を調べた」「お店やショールームで実際に触ってみた」「ソニーのモノづくりについてインターネットに書き込んだ」「ソニーのモノづくりについて友人や知人と話をした」

 広告認知は、本紙全面広告が別刷りタブロイドをやや上回っている。印象では2つがほぼ同等、理解や興味になると別刷りタブロイドが本紙全面広告を上回っている。広く届けるには本紙全面広告、内容の理解や興味では、読ませることのできる別刷りタブロイド、とそれぞれの強みが表れている。

▲ページの上に戻る
調査結果3
クロス接触状況

次は、3つの広告への接触状況の結果を見てみよう。

図3は、3つの広告への接触状況である。多い順に
①「本紙全面広告」と「別刷りタブロイド」に接した人 21.7%
②「本紙全面広告」のみに接した人 17.0%
③「別刷りタブロイド」のみに接した人 10.3%
④「本紙全面広告」「別刷りタブロイド」「DIMEタイアップ」すべてに接した人 9.7%
となる。

図3 クロス接触状況(N=300)

▲ページの上に戻る
調査結果4
クロスメディア効果

続いて、広告接触による純粋想起(マインドシェア)と購入意向の変化についての調査結果を見てみよう。

①マインドシェアへの効果
 図4-1は、純粋想起で聞いた「あなたが欲しいデジタル映像機器メーカー」の第1位回答(トップオブマインド)で、「ソニー」と答えた割合である。全体では34.0%だが、何らかの広告に接した人ではそのスコアが上昇していることがわかる。特に媒体接触数が1つでもあるかゼロかで大きく違っている。

図4-1 マインドシェアへの効果(単位:%)

②購入意向への効果
 図4-2は、ソニー映像機器の購入意向である。前項のマインドシェアと同様、広告接触者はスコアが高い。マインドシェアでは接触媒体数による差があまりなかったが、購入意向では「3 媒体」が最も高くなっている。

図4-2 購入意向への効果(単位:%)

ソニー好きの人は、そうでない人に比べて広告を目に留めやすいとすれば、広告接触者はもともと「ソニーびいき」の傾向があると考えられるので、スコア上昇のすべてが広告効果によるものではないかもしれないが、押し上げに寄与していることは間違いないだろう。
▲ページの上に戻る
調査結果5
テレビCMの回答傾向

最後に、広告媒体別のユニークな特徴が出ているデータを紹介する。

図5-1は、広告を再認する前に「ソニーのデジタル映像製品の広告を見た記憶」を聞いたもの。「見たことがある」が35.3%、あやふやな記憶も合わせると7割以上が記憶しているという結果だった。同時に聞いた「見た媒体」では、テレビが1位だった。

図5-1 ソニーのデジタル映像製品の広告を見た記憶(単位:%)

 図5-2では、図5-1で紹介した認知媒体を、接触媒体数別に見たもの。3媒体ともに接触した人は、「新聞」をトップに「テレビ」、「チラシ、別刷り広告」「店頭」などいろいろな媒体のスコアがバランスよく出ている。一方、1媒体のみ、全く接触していない人では「テレビ」のみが際立っている。今回調査した新聞や雑誌の広告には接しない人にも、テレビは広くリーチできる媒体と考えるのが自然なのかもしれない。しかし突出はかなり極端であり、あやふやな記憶しか持っておらず、どの媒体で見たのか特定しづらい人がテレビと答えた可能性があるのではと推測するのは、新聞社の人間としてテレビをライバル視しすぎだろうか。

<今回の広告にいくつ接しているか別>記憶している広告媒体(単位:%)

(国友)


調査概要
調査期間 : 2008年3月8日(土)~11日(火)
調査地域 : 首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)
調査対象者 : 30~50代で読売新聞を購読している男性200名、女性100名(マーシュリサーチモニターよりスクリーニング)
サンプル数 : 300
調査方法 : Webアンケート調査
調査企画・設計 : 読売新聞東京本社広告局
レターヘッド : マーシュ
実査 : MRD