「世メディア調査」から――新聞広告のリラックス落差とは



1972年生まれ。97年早稲田大学商学部卒業。2002年同大学大学院博士後期課程修了。早稲田大学産業経営研究所助手、東京富士大学経営学部専任講師を経て、05年より現職。広告論担当。著書に『エッセンスで読むコトラーのマーケティング 入門の入門』(あさ出版)、『新しい広告』(電通、共著)、訳書に『経験価値マーケティング』『経験価値マネジメント』(ダイヤモンド社、共訳)などがある。

 インターネットが身近な存在になり、情報収集をインターネットに頼ることが多くなったのは確かです。今回の調査は、そのような環境変化を経て、生活者が新聞や新聞広告をどのようにとらえているか探っています。今回の調査では、新聞の特徴を世メディアとしてまとめています。
 新聞はリラックスできないメディアというのは、おもしろい見方だと思います。リラックスできないということは、世の中で何が起きているかを知るという目的があって新聞に目を通しているということの裏返しでもあるといえます。読者の目的意識は、新聞が世の中で起きている出来事を、「手っ取り早く」知るということにあるのではないでしょうか。
 世の中で起きている出来事を知ることができるメディアとしては、新聞に続いてテレビも高い評価を受けています。しかし、テレビのニュースでは、放送時間内で番組の構成がある程度決められていて、自分の知りたい情報を思いどおりに知ることができるとは限りません。新聞の良さは、幅広い情報がありながら、それでいて自分の気になる情報に素早くアクセスできる点にあるといえます。
 今回の調査では、新聞が、世の中で起きている出来事を、幅広く、手早く知りたいと思う人にとって、高く評価されていることがわかります。このような読者の姿勢は、新聞広告にもポジティブに影響していると思われます。新聞には自分の想像や興味の範囲を超えた発見があるという評価には、広告という情報も含まれていると考えられるのではないでしょうか。グループインタビューの声をみてみても、新聞広告の幅広い内容に興味を示している読者の存在がわかります。
 従来からいわれている新聞の信頼性は、広告メッセージの説得力を高めるために重要です。しかし、何よりも重要なのは、記事というコンテンツと広告メッセージとの垣根が低いということだと思います。新聞は、目的を持って読まれることが多いメディアだと思いますが、記事と広告との垣根が低く、信頼性が高いこともあり、読者がリラックスして広告に目を通すことができるのではないでしょうか。
 メディアの多様化が進み、ともすれば広告は消費者から邪魔者扱いされてしまうこともあります。広告がリラックスして見てもらえるというのは、新聞広告にとっての強みといえると思います。

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