研究レポート
<寄稿>不況下に節約するもの、したくないもの
マッキャンエリクソン社「media in mind™」調査結果より(3)




マッキャンエリクソン社の消費者調査「media in mind™」(MiM)からのレポート3回目は、マッキャンエリクソン社自身に不況下における消費マインドの傾向とそこから得られるヒントについてレポートしてもらいました。

<今回のサマリー>将来への不安が増して、 節約や財テクに励む人が増えている。一方で、節約したくないものがある人は7割も。節約したくないのは、医療費、教育費、娯楽費など。



① 将来への不安は募るばかり


100年に一度の経済危機という状況下、生活者の意識はどのように変化し、どのような消費行動を行っているのか、探ってみました。
最近3年間で最も高まりを見せたのは、「数年後、仕事があるか不安を感じる」「将来の暮らし向きに不安を感じる」といった将来への不安に関する意識でした。その結果か、将来へ備えるため、貯蓄意向や財テク関連の意識も上昇しています。また、内食化が進む中、「手間をかけて作るようにしている」も上昇。その他、微増ではありますが、「キャリアアップにはプライベートの時間を犠牲にする」といった自分磨きの意識も高まりを見せています。

図1 生活意識の変化



② 当然「節約」「貯蓄・財テク」に励みます

不況対策として行っていることを訊いてみると、「節約」「貯蓄・財テク」「キャリアップのための勉強・資格取得」のスコアが実施、意欲ともに高いことが分かりました。「節約」「貯蓄」に続いて、「キャリアップのための勉強・資格取得」が高いのは、もともと勤勉な日本人ならではといったところではないでしょうか。

図2 不況対策



③ やはり「巣ごもり」は起きています。とはいえ、楽しみながらが基本です

実際に、どのような意識や行動の変化があったのか訊いたところ、「外食の機会を減らすようになった」が最も高い結果となりました。その他にも「休日は外出せずに、自宅で過ごすことが多くなった」「休日は遠出をせずに、近所で遊ぶことが多くなった」「平日はなるべく寄り道せずに帰宅することが多くなった」といった項目も20-30%の人が該当しており、特売品を買ったり、節電をするのと同様に「巣ごもり」も不況対策として意識・行動されているようです。

図3 不況による意識や行動の変化て

<グループインタビューより>
「節約は外食っすね。家で自分で作ったりしています。最近本買ったりして自分で作るのが楽しいです。」(男性20代)

「以前はお弁当を作るなんて考えられなかったけど、最近は作るようになりました。」(女性20代)

外食費を節約するとなると、当然自炊をする機会が増えるわけですが、料理を楽しむ人も増えているようです。ストイックな節約ではなく、自分流に楽しみながら節約することが、今の消費者の特徴と言えるのではないでしょうか。


④ 財布の紐がゆるくなるものは、人によって千差万別といえます。また、たまにはご褒美の娯楽も必要です

「これからも節約したくないモノ」として何らかのモノを挙げた人も69%に上っています。全体では医療費(26%)がトップに挙げられているものの、年代によって、結果は大きく異なります。10代男女・20歳~34歳の男女では娯楽費、35歳~49歳では教育費、50歳~69歳では医療費がそれぞれトップに挙げられており、年代によるライフスタイルの違いが節約したくないモノへの優先順位に反映される結果となりました。さらに49歳以下では娯楽費が上位3位内に入り、日々の生活で節約をしつつもストレス発散のために娯楽にはお金を使いたいという消費者像が浮き彫りになっています。

図4 節約したくないもの



⑤ こんな時代だからこそ

・貯蓄や財テクは多くの人の興味のあるところとなっています。「金融商品」への興味関心は当然高くなっているといえるでしょう。 
・外食控えから、内食関連の食品への興味関心も以前にも増して高いといえるでしょう。消費者に信頼される商品の提供は当然のことながら、商品を通して「楽しみ」を提供することも大切でしょう。また、関連産業も、節約を楽しむサポートとなるものを提供していくことが、鍵となるでしょう。
・節約意識は高まってはいるものの、やはり節約したくない、できないと思うものも存在します。年代などライフスタイルによる差だけでなく、今後は個人の趣味・嗜好などがより財布の紐を左右すると思われます。これらを考慮に入れながら、適切な顧客に適切なメッセージを送ることが必要となるでしょう。
・節約ばかりだと、たまには息抜きをしたくなるものです。たまには自分にご褒美をあげたくなるものです。大きなご褒美ではないかもしれませんが、プチご褒美的なモノや娯楽関連産業も、今の時代の消費者を癒やしていく存在として、必要とされているのではないでしょうか。

(マッキャンエリクソン インサイトディレクター 山本博子)

調査概要
<2009MiM全体調査>

対象サンプル 15~69歳の男女
サンプル数 9,365
調査期間 2009年4月25日~5月12日
調査方法 インターネット調査
調査地区 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)+ 関西(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)

<2008MiM調査>

対象サンプル 12~69歳の男女
サンプル数 9,299
調査期間 2008年4月12日~29日
調査方法 インターネット調査
調査地区 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)+ 関西(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)

<2007MiM調査概要>

対象サンプル 12~69歳の男女
サンプル数 9,512
調査期間 2007年4月20日~5月9日
調査方法 インターネット調査
調査地域 関東(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)+ 関西(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)